ハミルトン ベンチュラは、左右非対称の盾形ケースが目を引く時計です。丸い時計の「直径」だけでは捉えにくい輪郭と、電池式時計から始まった歴史が結び付いています。
ただし、ベンチュラという名前だけで現在の駆動方式は決まりません。今回はクォーツのH24411732と、自動巻きのH24515551を比較します。後者は確認時点の日本公式ページで販売終了コレクションに分類されています。
1957年の電池式時計と、盾形のデザイン
ハミルトンは、1957年1月3日に登場したベンチュラを、世界初の電池式電気腕時計として紹介しています。これはブランドの公式史における位置付けです。ハミルトン公式・ベンチュラ60周年資料
ケースのデザインを手がけたのは工業デザイナーのリチャード・アービブ。公式の歴史記事は、盾形ケースと、1961年の映画『ブルー・ハワイ』でエルヴィス・プレスリーが着用したことも紹介しています。ハミルトン公式・デザインの歴史
誕生時の「電池式」という説明と、後世の製品に書かれた「クォーツ」という分類は、同じ言葉ではありません。1957年の時計へ、現在の製品番号やキャリバー名をさかのぼって当てはめないことが大切です。

32mm×50mmを、丸い50mm径と読み替えない
ベンチュラの製品ページでは、ケースサイズを二つの寸法で示しています。丸い時計の直径と同じつもりで大きい方の数値だけを比べると、実際の輪郭から離れてしまいます。
正面写真では、盾の先端がどちらへ張り出すか、ベルトへつながる部分がどこにあるか、文字盤の余白がどう配分されているかを順に見てください。横幅と縦方向の長さ、厚さを分けて確かめる方が、独特の形を捉えやすくなります。
同じ品番でも、資料によって寸法表記が異なる
現在の製品ページにある32mm×50mmと35mm×54mmに対し、2019年5月15日の日本向け公式発表は、H24411732を高さ50.3mm・幅32.3mm、H24515551を高さ53.5mm・幅34.7mmと記しています。対象品番は同じでも、掲載された数値の細かさが異なります。スウォッチ グループ ジャパン・2019年の公式発表
下表は現在の製品ページの表記を採用し、過去の発表値と混ぜていません。資料だけでは、この差が測定方法、丸め方、製品変更のいずれによるものかまでは確定できません。そのため、寸法の違いだけを根拠に「ケースが大型化した」といった世代交代の説明は加えません。
クォーツと自動巻き、2品番の仕様を比較する
| 比較項目 | ベンチュラQuartz | ベンチュラAuto |
|---|---|---|
| 品番 | H24411732 | H24515551 |
| 駆動方式 | クォーツ | 機械式自動巻き |
| キャリバー | 955.412 | H-10 |
| ケースサイズ | 32mm×50mm | 35mm×54mm |
| ケース厚 | 9.27mm | 11.5mm |
| ケース素材 | ステンレススチール | ステンレススチール |
| 風防 | ミネラルクリスタル | サファイアクリスタル |
| 防水表記 | 5気圧 | 5気圧 |
| 公式ページ上の分類 | 既存コレクション | 販売終了コレクション |
出典:ハミルトン公式・H24411732、ハミルトン公式・H24515551。
これは駆動方式だけの比較ではなく、寸法や風防も異なる二つの製品の比較です。販売終了の分類は対象品番についての記載であり、ベンチュラの自動巻きモデル全体が終了したという意味ではありません。
広告|楽天市場
本文で紹介したベンチュラ Quartz(H24411732)は、楽天市場のハミルトン公式ストアで確認できます。最新の価格・在庫・付属品は商品ページをご確認ください。
比較する型番の基準価格
価格確認日:2026年10月9日。日本国内の公式価格を優先し、過去の価格には資料の発表日を併記しています。
| 型番・仕様 | 基準価格 | 価格の時点・区分と出典 |
|---|---|---|
| H24411732 クォーツ・黒文字盤 | 147,400円 | 国内公式サイト表示価格 公式の価格出典 |
| H24515551 自動巻き・銀文字盤 | 125,000円+税 | 2019年5月15日の公式発表時価格 公式の価格出典 |
H24411732は日本向け公式ページの表示額です。参照できた価格欄では税込・税別の明記を確認できていません。H24515551は日本公式ページで販売終了商品とされ、現在の公式価格は掲載されていません。そのため過去の公式発表価格を参考として示しています。これは発売当初の価格や販売終了直前の最終価格と確認できた数値ではなく、現在の購入価格でもありません。時点と税の条件が異なるため、2本の単純な価格差は算出していません。
価格は改定されることがあります。掲載額は中古相場や買取価格を示すものではありません。購入時は対象型番の最新価格と在庫をご確認ください。
映画との関係も、作品と品番をそろえて読む
2019年の公式発表は、『メン・イン・ブラック:インターナショナル』でエージェントMがH24411732、エージェントHがH24515551を着用する組み合わせとして、今回比較する2品番を紹介しています。黒文字盤と黒い革ベルトのクォーツ、銀文字盤と茶色い革ベルトの自動巻きという違いは、作品中の人物との対応を読む手掛かりになります。公式発表・着用モデルの品番
これに対し、1961年の『ブルー・ハワイ』での着用は、ベンチュラの歴史を説明する別の出来事です。現在のH24411732がその当時に使われた個体である、あるいは本記事の参考写真が映画の実物である、という意味にはなりません。映画名、公開年、型番が分かる資料を一組として読むと、長く続くデザインの物語と個々の製品を分けられます。
2019年の発表には、H24411732を91,000円+税とした記録もあります。現在の価格表の147,400円とは時点と税表記の条件が違うため、本稿ではそのまま値上がり率へ換算していません。映画への登場は当時の製品構成を知る資料になりますが、現在の在庫や購入条件を示すものではありません。
電池で動く時計と、ゼンマイを巻く時計
クォーツモデルと自動巻きモデルでは、動力の扱い方が異なります。H24515551の公式説明は、手首の動きでローターが回り、主ゼンマイを巻き上げる方式と、公称80時間のパワーリザーブを示しています。ハミルトン公式・自動巻きの説明
自動巻きの80時間は、十分に巻き上げた後の持続時間を読む数値です。クォーツの電池寿命とは前提が異なるため、同じ欄の単純な長短で比べるのは適切ではありません。使わない期間の長さや、取り出したときの時刻合わせまで含めて、自分の使い方に結び付けます。
開口部と仕上げは、写真だけで決めない
H24515551には文字盤側から機械が見える開口部があります。日本公式ページには、そこから見える装飾仕上げについて掲載画像と異なる仕様がある旨の注記も残っています。対象個体の写真と、仕様説明の両方を見る意味がある例です。公式・H24515551の仕様注記
販売終了モデルを調べる際は、モデル名が一致することと、手元に届く個体の状態が一致することを分けて考えます。特に風防、文字盤、ベルトの状態は、機械の種類とは別に確認したい部分です。
機械が見える窓は、計測表示ではない
H24515551の文字盤の開口部は、内部の機械を見せるためのものです。時刻を読む針とは違う動きが見えても、それだけでクロノグラフやトゥールビヨンが搭載されていることにはなりません。公式ページが示すのはH-10を搭載した自動巻きモデルであり、機構名は見た目の印象と分けて確かめます。公式・H24515551の機械と開口部
また、開口部から見える装飾の有無と、時計を動かす方式は別の話です。日本公式に残るペルラージュ仕上げの注記は、掲載画像と仕様の相違を説明しています。装飾の見え方が違うことを、そのまま駆動方式の変更や故障の証拠として扱うことはできません。現物を比べるときは、品番と機械、文字盤の開口、装飾という順で確認すると、見た目の違いを整理できます。
形の個性を、ほかの時計と比べる
タグ・ホイヤー モナコの歴史とジャガー・ルクルト レベルソの歴史を合わせて読むと、丸形以外の時計で、ケースの寸法や構造がどのように個性を生むかを比較できます。ベンチュラでは、左右非対称の輪郭と駆動方式を別々に読むことが、その理解の入口になります。
情報確認日:2026年10月9日。比較仕様と販売区分は本文の2品番の公式掲載内容に基づきます。


