リシャール・ミル RM 67-01――薄さと立体感を両立する構造と素材

宝石装飾のあるRM 67-01の正面。数字の奥に機械が見え、5時位置に日付、2時位置にW・D・H表示がある。 独立時計師・超高級時計
2018年12月13日撮影のRM 67-01参考個体。宝石装飾のある外装で、ケース素材・製造年・宝石の種類や純正性は写真資料では確定していません。内部構造の共通解説用で、特定の外装仕様を保証する写真ではありません。 撮影:Y.Leclercq / Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0。表示用に縮小・JPEG再保存。トリミング・内容の改変なし。表示用画像にも元画像と同じライセンスを適用。

RM 67-01は、リシャール・ミルらしい機械の見える外観を、薄い自動巻き時計としてまとめた作品です。機械を薄くするだけでなく、正面から見たときの奥行きも残す。この二つの課題を一緒に考えると、数字が浮くように見える文字盤や、部品の素材選びに意味が見えてきます。

時計を知る入口は、価格の大きさより、何をどこに配置したかです。まず時刻の表示を探し、その下の機械、周囲のケースへと視線を移してみてください。薄さ、読みやすさ、構造の見せ方が一つの外観に組み込まれています。

宝石装飾のあるRM 67-01の正面。数字の奥に機械が見え、5時位置に日付、2時位置にW・D・H表示がある。
2018年12月13日撮影のRM 67-01参考個体。宝石装飾のある外装で、ケース素材・製造年・宝石の種類や純正性は写真資料では確定していません。内部構造の共通解説用で、特定の外装仕様を保証する写真ではありません。 撮影:Y.Leclercq / Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0。表示用に縮小・JPEG再保存。トリミング・内容の改変なし。表示用画像にも元画像と同じライセンスを適用。

薄型のトノー型という、ブランド内での位置づけ

フィリップスのモデル解説はRM 67-01の登場を2016年としています。メーカーは、象徴的なトノー型を使った薄いライフスタイルモデルを目指したと説明しています。丸いドレスウォッチの形へ置き換えるのではなく、ブランドの輪郭を保ったまま薄くする方向を選んだ時計です。フィリップスのモデル解説、メーカーの設計意図

そのため、薄型時計を選ぶ際も、最小の厚さだけを競う製品として読むより、何を残して薄くしたかを見ると個性が分かります。日付と操作位置の表示、内部の透ける構成、トノー型のケース。この組み合わせがRM 67-01を理解する軸になります。

機械の3.60mmと、時計全体の厚さを分ける

自動巻きキャリバーCRMA6の厚さは3.60mmです。FHHの製品資料では、チタンケースの紹介例について38.70×47.52mm、厚さ7.75mmと示されています。前者は内部の機械、後者はその機械を収めた時計の寸法です。比較するときは同じ部位を測った数値を揃えます。FHHのチタン仕様資料

機械と完成した時計の厚さが違うのは、風防や裏蓋、針と表示の空間、ケースの構造も必要だからです。単に二つの厚さを引いても、残りがすべて空白や無駄な部分になるわけではありません。薄型化では、時計を動かす部品と、それを保護して読ませる部分を一緒に成立させる必要があります。

また、トノー型の縦横寸法は丸い時計の直径と同じ数字の意味ではありません。幅だけで小さいと判断せず、上下の長さと曲面も見ます。掲載写真は宝石装飾のある別の参考個体なので、上のチタン仕様の寸法や外装条件を写真の個体にそのまま当てはめません。

数字を支えるレールが、文字盤の奥行きを作る

公式資料によれば、金属製の数字は、機械へ固定された二本のチタン製レールに取り付けられています。文字盤を一枚の板として置く方法とは異なり、表示を支える構造そのものが見える設計です。公式の文字盤構造

観察するときは、針の高さ、数字がある面、その下の部品を分けて見てください。実際の厚みが小さくても、視線が通る空間と重なりがあれば、奥行きの感覚が生まれます。薄さとは物理的な寸法、立体感とは目に入る情報の関係です。この二つが同時に成立するところに設計の面白さがあります。

一方、内部がよく見えることは、いつでも時刻が読みやすいことと同じではありません。背景が複雑な時計では、針や数字がどれだけ区別できるかも重要です。実物を見る機会には、静止した正面だけでなく、角度や照明を変え、時刻を素早く拾えるかを確かめたいところです。

スケルトンは、穴を開ける以上の構造設計

スケルトンの魅力は、歯車などを見せながら、残った地板や受けの形も楽しめることです。地板は機械の土台、受けは部品の軸などを支える構造物。大きく透かしても、必要な位置関係を保たなければ時計は動きません。

部品を見せるために材料を取り除くと、支える部分の形と配置がより重要になります。RM 67-01の説明を読む際も、軽く見える外観と、その外観を成立させる支持構造を別々に眺めると理解が進みます。見えている穴の大きさだけで、軽さや丈夫さの優劣を断定することはできません。

正面写真からすべての歯車の役割を特定する必要はありません。まず針と数字を見つけ、次にそれを支える部品を追い、最後に歯車や動く部分へ進みます。情報量の多い外観を段階的に読むと、装飾と構造を取り違えにくくなります。

軽い土台と、重いローターを使い分ける

地板と受けにはグレード5チタン、ローターにはプラチナを採用しています。公式はプラチナのローター、OneWayの巻き上げ方式、セラミックのボールベアリングを、薄い機械の自動巻きを成立させる構成として説明しています。公式の素材・巻き上げ解説

自動巻きでは、腕の動きで回転するローターがぜんまいを巻きます。回転部品では重量の配分が巻き上げに関わるため、すべてを軽くすればよいという設計にはなりません。土台を支える素材と、回転して動力を補う素材を分けて考えると、チタンとプラチナが同居する理由を理解しやすくなります。

ここでいうチタンは内部部品の話です。ローターがプラチナでも、ケースまでプラチナ製という意味にはなりません。素材を読むときは、ケース、地板、受け、ローター、留め具と部位を書き添えます。高級素材の名前を時計全体の特徴へ広げると、個体の比較を誤ります。

W・D・Hは、操作位置を知らせる表示

時・分に加え、日付は5時位置、機能表示は2時位置にあります。公式英語資料ではWが巻き上げ、Dが日付合わせ、Hが時刻合わせを表します。リューズがどの操作位置にあるかを知らせる表示です。公式の表示機能

これは残りの駆動時間を示す針ではありません。小さな表示を一括して装飾と考えず、何を知らせるものかを見分けると、外観が読みやすくなります。公式の駆動時間は約50時間(±10%)で、精度の日差を表した数字とは区別します。

機能表示があっても、日付修正をいつ行ってよいか、リューズをどのように戻すかなどの手順は、対象個体の取扱説明書で確認します。ここでは表示の意味を紹介し、操作手順や独自の性能試験を示しているわけではありません。

RM 67-02は、名前の近い別設計

公式はRM 67-02をRM 67-01のスポーツ版として紹介しています。TPT複合素材などと伸縮性のあるストラップを組み合わせ、重量32gを公表していますが、機械は時・分表示のCRMA7です。RM 67-01のCRMA6とは型式も機能も異なります。公式RM 67-02

32gという数字をRM 67-01へ流用したり、RM 67-02にも同じ日付と機能表示があると考えたりすると、両者の違いを見落とします。比較の軸は色や軽さだけでなく、必要な表示、ケース素材、ストラップ、そして使いたい場面です。

薄型の機械を別の表現で楽しむなら、オクト フィニッシモとの比較も有効です。機械を見せる度合い、輪郭、表示の配置まで含めると、薄さという共通点から各モデルの違いへ進めます。

所有には、素材と装飾の確認、整備の相談が伴う

写真の参考個体は2018年12月13日撮影ですが、その日付は製造年を示しません。ケース素材、宝石の種類、装飾の純正性も写真だけでは確定していません。見える特徴と、書類で確認できる個体情報を分けて扱います。

メーカーは非正規の改造や整備と保証の関係を説明し、定期的な整備を勧めています。宝石装飾のある中古個体を検討するなら、元の仕様、改造歴、保証書と整備記録、メーカーでの受付条件を確認します。購入前に条件を揃えることが、時計の構造を楽しむための土台になります。公式の整備・保証案内

整備費は機種と必要な作業により異なるため、未確認の一律額は示しません。メーカーの認定中古制度も、状態確認と保証条件を含めて比較する選択肢です。一般の中古販売店の保証と同じものとして扱わず、その個体がどの制度の対象かを確かめます。公式認定中古制度

落札例は、特定の外装と個体の結果として読む

後掲のフィリップスの例は、ピンクゴールドとダイヤモンドを組み合わせたRM 67-01 RGの結果です。チタン仕様でも、本文写真の参考個体でもありません。同じ機械を使っていても、外装と装飾、状態、付属品が違えば比較条件は変わります。

薄型設計の工夫があることと、その落札額を各工程の費用へ分解できることは別です。メーカーは原価の内訳を公開していません。構造や作業を価値の見どころとして説明しながら、取引価格は個別の条件を持つ結果として読みます。

情報確認日:2026年9月30日。メーカー公表仕様と主催者の個体情報を区別しています。実機の装着感、精度、耐衝撃性は独自検証していません。

RM 67-01の仕様を限定した落札例

価格確認日:2026年9月30日。2025年のThe Hong Kong Watch Auction: XX、ロット846の結果です。

対象・仕様価格区分・出典
RM 67-01 RG/ロット846
約2022年製・ピンクゴールド/ダイヤモンド付き
HKD 1,397,000過去の落札結果表示額(買い手手数料込み)
価格の出典

ダイヤモンド付きピンクゴールドという仕様の結果で、チタン製や装飾のない仕様、本文写真の個体価格ではありません。素材と装飾条件をそろえずに比較すると、薄型設計そのものの価格と取り違えるおそれがあります。主催者が公表した特定個体の過去の結果です。現在の新品価格や全個体の買取相場ではありません。取引通貨のまま示し、円換算はしていません。買い手ごとの税・送料等の最終請求内訳は未確認です。

価格・在庫・受付条件は変わることがあります。購入や依頼の際は、対象の仕様と最新の支払総額をご確認ください。