丸いドームが2つ突き出し、その間から機械がのぞく。MB&FのHM3 Frogは、写真を見ただけでは時刻の読み方を迷うかもしれません。しかし、どの部品が何を表示するかを分けると、造形と機能の関係が見えてきます。
この記事では、HM3 Frogの実物写真を入口に、回転する時刻表示と、その形を動く時計に仕立てる共同開発に注目します。実機を試着・分解したレビューではなく、公開資料と写真に基づく解説です。

HM3 Frogはどんな時計か
HM3 Frogは2010年に発表されたモデルです。カエルの目を連想させる2つのドームが、それぞれ時と分を示します。後年にはサファイアクリスタル製ケースのFrogXも登場しましたが、ここでは日付表示を備えるHM3 Frogを扱います。MB&F公式モデル紹介
掲載写真でまず見たいのは、ケースの上に盛り上がった透明な覆いと、その内側の数字です。平面の文字盤に針を置く時計とは、表示の配置そのものが異なります。ドーム、中央の開口部、側面のリューズへ順に目を移すと、時計の厚みまで含めて外観が構成されていることがわかります。
こうした写真では、数字の大小だけでなく、数字が載る面の曲がり方にも注目すると理解が進みます。正面からの輪郭だけでは捉えにくい特徴を、斜めからの写真が伝えてくれます。
2つのドームで時と分を読む
時を示すアルミニウム製ドームは12時間、分を示すドームは60分で1回転します。透明な外側の覆いと、数字を載せて回転する内側の部品を分けて考えるのがポイントです。MB&F公式・表示機能
一般的な時計では、固定された目盛りに対して針が動きます。HM3 Frogを見るときは、まず時の表示と分の表示を見分け、それぞれの読み取り位置を確認します。写真に見えている数字をすべて一度に読もうとせず、2つの表示を別々に追うと構造をつかみやすくなります。
公式取扱説明書の機能図では、時、分、日付リング、日付指標が区別されています。日付は2つのドームとは別の表示です。外観から操作方法を推測せず、実際の取り扱いには該当モデルの説明書を確認してください。HM3 Frog公式取扱説明書
8時20分なら、二つの指標を順に追う
読み方は、二つの小さな時計を別々に読むと考えると分かりやすくなります。たとえば8時20分なら、時のドームで8時台を読み、分のドームで20分を読み取ります。時の側は12時間で一周するため、20分が経過した時点では8から9へ向かう途中です。数字が目に入った順に時刻を組み立てるのではなく、それぞれの指標に対する位置を見ます。
この例は公式の回転周期から読み方を説明したものです。時表示の角度は通常の短針と同じく1時間に30度、分表示は1分に6度という関係になります。HM3 Frogではその角度を、針の向きではなく数字を載せた曲面の位置で読むわけです。見慣れない外観でも、12時間と60分という時間の区切りは身近な時計と共通しています。
中央に見える機械にも役割がある
HM3系は、巻き上げ用ローターやテンプの動きを見せるため、ムーブメントの向きを反転させた設計を採っています。通常の配置を変えれば、時刻表示へ動きを伝える経路も考え直す必要があります。HM3公式・構造解説
HM3 Frogでは、セラミック製ボールベアリングを介してドームへ時・分の情報を伝えます。また、斧を思わせる形の22金製ローターが自動巻きの役割を担います。HM3 Frog公式・機構仕様
写真中央の青い部品に目が向いたら、その形と、周囲にある機械を見比べてみてください。動く部品の見せ方まで外観の一部になっている、と読むことができます。ただし、静止写真から動作状態や巻き上げ効率を判定することはできません。色や形を観察できることと、性能を測定できることは別です。
反転した機械では、表示までの道筋も変わる
普通なら裏側から鑑賞する巻き上げ機構を表へ向けると、時刻表示を取り出す側との位置関係が逆になります。ローターを見せたいという造形上の狙いを満たすだけでは、上にある二つのドームへ動きを届けられません。機械の配置と、表示への伝達経路を一緒に成立させる必要があります。
MB&Fは、通常の軸と石を使った伝達では歯車の構成が複雑になり、摩擦や上下の支持による厚さが課題になると説明しています。そこで用いるセラミック製ボールベアリングは、単なる素材の飾りではなく、この上下関係をつなぐ構造の要点です。基礎となるHM3の公式解説では、裏側の二つの大きなベアリングが表示への動力伝達を担うことも示されています。公式・HM3の反転構造と伝達経路
写真を見る順番も変えてみてください。最初は目のような表示、次に中央で動くローター、最後にその二つをつなぐ仕組みです。ドームが浮かんで見える造形と、内部で連続する機械の関係をたどると、Frogらしい姿を実現するために何を設計したのかが見えてきます。
構想・デザイン・機構設計をつなぐ
基礎となるHM3について、MB&Fはマックス・ブッサーとデザイナーのエリック・ジルーの構想・図案を、ジャン=マルク・ヴィーダーレヒトが機械式時計として実現したと説明しています。HM3公式・開発背景
HM3 Frogの機構設計にも、ヴィーダーレヒトとAgenhorの名が明記されています。公式仕様が示す動力の基礎はジラール・ペルゴ製です。外観の発想、機構の設計、基礎となるムーブメントを区別すると、この時計の製作体制を具体的に理解できます。HM3 Frog公式・機構設計
ここから読み取れるのは、協業を通じて独特な表示と造形を成立させているということです。どこまでを自社で作ったかという問いに加えて、誰が何を担当し、それが完成品のどの特徴につながったかを見ると、作品の理解が深まります。
初代FrogとFrogXは、透明さだけの違いではない
2010年のHM3 Frogに対し、10周年の2020年に登場したFrogXは、ケース全体にサファイアクリスタルを使って機械を見せる作品です。初代では金属の輪郭と開口部の対比を見るのに対し、FrogXでは透明なケースを通して内部の重なりへ視線が届きます。どちらも二つの目を持ちますが、機械の見せ方は異なります。
公式の比較仕様では、初代Frogが47×50×18mm、FrogXが48.3×52.7×17.5mmです。また、機械の部品数は初代が304、FrogXが277とされています。初代にある機械周囲の日付表示と、FrogXのリューズが光でマークを映す仕掛けも、別々の特徴として記されています。部品が多い方が上位という順位ではなく、備える表示と設計が違うことを読む数字です。公式・FrogとFrogXの比較仕様
所有を考えるなら、名称の確認に続いて、ドームの高さが服の袖や手首の動きとどう関わるかを確かめます。平面の写真では存在感を楽しめても、そのまま着け心地の評価にはできません。中古個体では外装素材、透明部品の状態、整備履歴、付属するストラップやバックルまで合わせて、必要な整備と部品の相談先を確認したい時計です。
写真を見るときの3つの着眼点
- 数字が載る面:平面ではなく曲面に配置された数字を追い、時と分の表示を分けて見る。
- 透明な覆いとケースの境界:ドームの盛り上がりやケース側面を見て、立体的な構成を捉える。
- 中央の開口部:表示の間に機械を見せる空間があり、外観と動作の両方に関心が向く配置になっていることを確かめる。
これらは写真からできる観察です。装着感、反射による読みやすさ、仕上げの細部は、この1枚だけでは評価しきれません。とくにドームの見え方は、視線の角度を変えたときの確認が必要です。
HM3 Frogを理解する入口は、2つの目が単なる飾りではなく、実際に時と分を担っていることにあります。そこから動力の伝達、機械の見せ方、作り手の役割へと視点を広げると、外形の印象と機構が結び付きます。
価格を見る前に、何に価値を感じるかを分ける
HM3 Frogの特徴は、時・分・日付という身近な情報を、立体的な機械の動きとして見せるところにあります。機能の数だけで比較すると、この時計のために考えられた表示の配置や伝達構造を捉えきれません。逆に、外形の珍しさだけでも、機械式時計として成立させる工夫は伝わりません。
製作の複雑さは作品を理解する材料になりますが、特定の販売価格の内訳を証明するものではありません。下記のオークション記録はBlack Frogという限定仕様の一個体の結果です。自分が関心を持つ外装と世代を先に定め、その条件で価格を比較すると、造形への評価と市場の数字を混同せずに読めます。
情報確認日:2026年10月1日。初代HM3 Frogを中心に解説し、FrogXの数値は比較箇所に限定しています。
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- ロジャー・W・スミス シリーズ2 オープンダイヤル:工房の部品製作と仕上げを軸に、作り手の役割を考える。
HM3 Black Frogの過去のオークション価格
価格確認日:2026年10月1日。2022年11月2日終了のA Collected Manの記録を参照しました。
| 対象・仕様 | 価格 | 区分・出典 |
|---|---|---|
| HM3 Black Frog チタン/12本限定仕様 | GBP 36,000 | 過去の結果表示額(手数料・税区分未確認) 価格の出典 |
出典のSold for表示額です。Black Frogという限定仕様の特定個体の記録で、通常のHM3 Frogや本文写真の個体価格ではありません。手数料・税の包含関係を確認できていないため、支払総額や手数料抜きの落札額とは断定しません。現在の注文価格・買取保証額としても扱いません。
価格・在庫・受付条件は変わることがあります。購入や依頼の際は、対象の仕様と最新の支払総額をご確認ください。


