パテック フィリップ ノーチラスの歴史|3700・5711から50周年の5810へ

実物写真準備中。掲載可能な写真を確認しています。 ブランド・モデル
実物写真準備中。掲載可能な写真を確認しています。

ノーチラスを知るには、人気の型番を覚えるだけでなく、ケースとブレスレットが作る一続きの輪郭を見ると理解が深まります。丸でも四角でもないベゼル、左右に張り出したケース、横方向の文字盤模様。それぞれが、スポーティーな時計を端正に見せる役割を担っています。

この記事では1976年の誕生と2006年の刷新をたどり、5811/1Gと2026年の50周年モデルを分けて整理します。価格ランキングではなく、世代ごとの設計を読むための入門です。

1976年、スティールで表現した高級時計

初代ノーチラスRef.3700は1976年に登場しました。メーカーの回顧資料では、活動的な生活に合う時計を求める顧客に向け、スティール製の新しい選択肢を提案したと説明されています。当時の広告でも、素材の貴金属としての価値だけでは測れない高級時計であることが打ち出されました。公式2006年発表資料・1ページ

デザインにはジェラルド・ジェンタが関わっています。2016年の公式資料は、ジェンタとの協働を記しています。ノーチラスの歴史を、ブランドの伝統と外部のデザイン感覚が結び付いた例として読むこともできます。公式40周年資料

舷窓を手がかりに、輪郭を読む

公式が着想源として挙げるのは船の舷窓です。丸みを帯びた八角形のベゼル、ケースの構造、横方向に凹凸を付けた文字盤が、ノーチラスの基本的な特徴となっています。公式コレクション紹介

観察するときは、正面の文字盤だけでなく、ケースからブレスレットへ移る部分にも注目してみてください。境目がどのように見えるか、光る面と落ち着いた面がどこで切り替わるかを追うと、輪郭の工夫が分かります。

同じ時代の高級スポーツウォッチを比較する入口として、ロイヤル オークの歴史も参考になります。似た分類に入る時計でも、ベゼルや文字盤の見え方を別々に観察すると違いが明確になります。

横縞と光沢は、別々の役割を持つ

5811の青い文字盤には、横方向の凹凸に加えて、放射状に光を返すサンバースト仕上げと、外周が黒くなるグラデーションがあります。横縞は模様の向き、サンバーストは表面の光の反射、グラデーションは色の変化です。一枚の写真では重なって見える三つの要素を分けると、同じ青でも撮影角度によって印象が変わる理由を考えやすくなります。公式5811・文字盤と仕上げ

外装を見る順序は、ベゼルの上面、縁、ブレスレットの順にすると分かりやすいでしょう。鏡面の強い反射と、細かな筋目のあるサテン仕上げが隣り合うことで、同じ金属でも面の境界が見えます。写真で白く光る部分を別素材と決め付けず、角度を変えた公式写真でも同じ境界を追うのが観察の手がかりです。

2006年の5711は、初代をそのまま再現した時計ではない

30周年に当たる2006年、ノーチラスはコレクションを刷新しました。Ref.5711/1Aは、スティール製ケースとブレスレットに、中央秒針と日付表示を備えたモデルです。発表時の資料では3部構成のケースとキャリバー315 SCが記載されています。公式2006年発表資料・3〜6ページ

ここで気を付けたいのが寸法の測り方です。同資料の5711は、左右の張り出しを含む幅が43mm、2時から8時方向が40mmと記されています。「40mm」と「43mm」は、違う場所を測った数字です。

中古品の説明を読む際も、型番に加えて製造時期と測定位置を確かめると、資料の食い違いを整理しやすくなります。発表時の機械の情報を、その型番の全製造期間に当てはめる読み方は避けたいところです。

5811/1Gはホワイトゴールドのモデル

5811/1G-001は、ホワイトゴールド製のケースとブレスレットを採用しています。銀色の外観だけを見てスティールと判断することはできません。公式仕様は、10時から4時方向の径41mm、厚さ8.2mm、自動巻きキャリバー26-330 S Cです。公式5811/1G-001

同ページは2部構成のケース、中央秒針、3時位置の日付窓も示しています。2006年発表時の5711と比べると、似た顔を保ちながら、素材と構造、機械に違いがあることが分かります。

2026年の50周年モデルは、5811と分けて考える

2026年の50周年公式ページには、5610/1P、5810/1G、5810G、置時計958Gが掲載されています。限定数はそれぞれ2,000本、2,000本、1,000本、100個です。ノーチラスという名称の展開は、腕時計の同じサイズ違いだけにとどまりません。公式50周年特設ページ

特に数字が似ている5810/1Gと5811/1Gは、別のリファレンスです。5810/1G-001の公式ページでは、薄型自動巻きキャリバー240と、50周年の銘を刻んだミニローターが紹介されています。公式5810/1G-001

リファレンス この記事での位置付け 比較の手がかり
3700 1976年の出発点 初代の設計思想
5711/1A 2006年の刷新を代表するモデル 発表時のケース構成と機械
5811/1G-001 ホワイトゴールド製モデル 26-330 S C、中央秒針、日付
5810/1G-001 2026年の50周年限定モデル キャリバー240、限定2,000本

5810と5811は、表示と薄さの組み合わせが違う

5810/1G-001は時針と分針の2針表示で、5811にある中央秒針と日付窓を備えません。正面では3時位置の表示、側面では厚さを見比べると、型番の一桁違いが何を意味するかが具体的になります。両者の径は同じ測定方向で41mmですが、厚さは5810が6.9mm、5811が8.2mmです。差の1.3mmはケース全体の数値で、機械だけの厚さの差とは別です。公式5810・表示とケース

日常の場面に置き換えると、日付を時計で確かめたいか、秒まで読みたいかが一つの分かれ目になります。5811には秒針停止機能もあり、基準の時刻に秒針を合わせる用途があります。一方、5810は表示要素を絞った文字盤と薄い外形を見比べる対象です。薄い方を一律に上位とするよりも、必要な表示を選んでから外形を比較すると、二つの設計を理解できます。

裏側では、ローターの大きさと位置を見る

自動巻きのローターは、腕の動きで回転してゼンマイを巻くためのおもりです。5811の26-330 S Cは中央に21金のローターを備え、機械の厚さは3.32mm。5810の240は中心からずれた位置の22金ミニローターを使い、機械の厚さは2.53mmです。どちらも自動巻きですが、裏側の写真で回転する部品が占める範囲は大きく異なります。26-330 S Cの公式仕様、240の公式仕様

ここでの21金・22金はローターの素材を示す数字で、ケース素材の説明ではありません。また、ローターの見た目の大小だけから巻上げ効率を順位付けすることもできません。機械の厚さ、表示機能、ケースの厚さを三つの欄に分けて見ると、「小さなローターだから、時計全体の差がすべて説明できる」という読み違いを避けられます。

本文で扱うモデルの基準価格

価格確認日:2026年10月5日。型番を指定した日本向け公式掲載額です。中古販売価格・買取価格とは区別しています。

対象・仕様価格区分・出典
5811/1G-001
ノーチラス・ホワイトゴールド・ブレスレット
13,350,000円日本公式掲載価格(税区分未確認)
価格の出典
5810/1G-001
50周年モデル・ホワイトゴールド・ブレスレット
15,260,000円日本公式掲載価格(税区分未確認)
価格の出典

価格は日本向け公式表示額で、取得した価格欄では税区分を確定できていません。本文で歴史を紹介した3700や5711の発売時価格・現在の中古相場ではありません。5811と50周年モデル5810は別のリファレンスです。記念性と販売価格をそのまま将来の換金額に結び付けず、入荷・販売条件も別に確認します。

価格・在庫・受付条件は変わることがあります。購入や依頼の際は、対象の仕様と最新の支払総額をご確認ください。

数字は対象と確認時点をそろえる

限定数は、記載されたリファレンスに対する数字です。50周年モデルの本数から、ノーチラス全体の年間生産数や過去の総生産数を推定することはできません。数字の範囲を読む方法は、時計の生産数と販売方法の見方で整理しています。

防水についても、5811/1G-001の現在の公式ページには30mと記載されています。過去資料の別モデルの表記を、現在の仕様や中古個体の状態にそのまま置き換えないことが大切です。個体を調べるときは、その時計の資料と整備記録をそろえて確認してください。

パテックの中で比較するなら

ノーチラスの造形をつかんだら、カラトラバの歴史と比べると、同じメーカーが異なる輪郭をどう作り分けているかを考えられます。ブランド全体を見渡す入口は、パテック フィリップの解説です。

情報確認日:2026年10月5日。現行仕様は確認日の公式掲載内容です。過去の発表資料は当時の仕様として扱っています。

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薄型設計と一体感のある外装を比較するなら、ブルガリ オクト フィニッシモの解説も参考になります。40mmと37mmを品番別に比較しています。