パーペチュアル1908は、小秒針を6時位置に置き、裏側から機械を見られるロレックスです。1908という数字はモデルの発売年ではありません。ブランド名が登録された年を名前に取り入れた、2023年登場のコレクションです。
本稿では名前の由来、外装と機械、素材や帯による違いを整理します。資料・公式掲載仕様の確認日:2026年10月8日。
1908という名前と、2023年の登場
モデル名は、ハンス・ウイルスドルフが「Rolex」の名を考案し、スイスで登録した1908年に由来します。時計そのものは2023年に始まったパーペチュアル コレクションに属します。ロレックス・1908の概要
歴史的な名前を持ちますが、1908年の時計をそのまま復刻したという説明ではありません。ロレックスは文字盤について、1931年のオイスターパーペチュアルのスタイルを現代的に解釈したものと説明しています。ブランド名の年、デザインの参照先、現在のモデルの登場年を分けて読むことが大切です。ロレックス・文字盤の背景
ロレックス全体の創業と名称の歴史は、メーカー史の記事で整理しています。
小秒針と二つの表情を持つベゼル
文字盤の大きな数字は3・9・12。6時位置には小さな秒表示があります。中央の時針はブレゲ針の様式、分針は剣のような形で、役割に合わせて形状を変えています。ロレックス・1908の表示と針
小秒針は時刻の秒を示す針です。別の場所に小さな文字盤があるからといって、クロノグラフの計測表示ではありません。現行仕様の機能は中央の時・分、小秒針、正確な時刻合わせのための秒針停止で、日付表示はありません。1908・52508の表示機能
ケース径は39mm。ベゼルは上部が丸く、下部に細かな溝を刻んだ構成です。外周全体を一様な形とせず、丸みと細かな凹凸を組み合わせています。裏蓋には透明なサファイアを使い、公称防水性能は50mです。1908・外装の仕様
小秒針が作る、文字盤の見方
1908は中央に時針と分針を置き、秒を6時側に分けています。時刻を大づかみに見るときは中央の二つの針、秒単位まで見るときは下側の小さな表示へと、視線を移して読む構成です。中央秒針が文字盤全体を横切る3針時計とは、針が動いて見える範囲も変わります。1908・中央の時分針と小秒針
また、3・9・12の数字と6時側の小秒針を一緒に見ると、上下左右の四つの位置で文字盤を捉えられます。時針の丸い輪と分針の鋭い先端も、単なる飾りとしてだけでなく、二つの針を見分ける手掛かりになります。表示項目の少なさの中で、配置と針の形を味わえる部分です。
自動巻き7140と、裏側から見える仕上げ
1908の機械は、モデル登場時の2023年に発表されたキャリバー7140です。クラシックな外観や革ベルトから手巻き時計を想像するかもしれませんが、ローターによる自動巻きです。ロレックス・7140の登場
7140にはクロナジー脱進機、シリコン製シロキシ・ヘアスプリング、パラフレックス・ショックアブソーバーを採用しています。公称パワーリザーブは約66時間です。裏側からは、肉抜きされたイエローゴールド製ローターと、機械の受けに施した装飾が見える構成です。ロレックス・7140の機構と仕上げ
受けの装飾はロレックス コート・ド・ジュネーブと呼ばれ、縞の間に磨いた細い溝を加えた点が特徴です。透明な裏蓋は、機械が動く様子だけでなく、この仕上げを見るための窓にもなります。ロレックス・機械の装飾
約66時間という数値は、十分に巻き上げた状態からの持続時間の目安です。透明な裏蓋や装飾の見え方と、動力の持続時間は、それぞれ別の比較項目として読むと整理しやすくなります。
プラチナ仕様は文字盤の模様にも注目
2024年には、950プラチナとアイスブルー文字盤を組み合わせる1908が発表されました。ロレックス正規販売店Betteridgeの2024年新作紹介にも、その仕様が記録されています。Betteridge・ロレックス2024年新作紹介
現行Ref.52506の文字盤は、ライスグレインと呼ぶギヨシェ模様です。6時位置の小秒針側を起点に広がる反復模様で、単なる青い平面とは異なる表情を持ちます。ロレックスは、工具で表面に模様を刻む加工として説明しています。1908・プラチナ仕様の文字盤
ここでの「ライスグレイン」は文字盤の模様です。後述する7列の金属ブレスレットの名称や構造とは別です。また、銀白色に見える外装でも、ホワイトゴールドとプラチナは同じ素材ではありません。
文字盤の地と、分目盛りの縁は別の模様
プラチナ仕様のギヨシェを見る際は、広い面を覆うライスグレインと、分目盛りを囲む細い装飾を分けて観察すると分かりやすくなります。公式説明では後者にもギヨシェを用い、細かな波状の模様を施すとされています。文字盤全体を一種類の反復模様で埋めた構成ではありません。52506・地模様と分目盛り周辺の装飾
地の模様は中央の針の軸ではなく、6時側の小秒針から広がるように構成されています。針の配置と模様の起点を重ねて見ると、小秒針が単独の表示であるだけでなく、装飾を読む手掛かりにもなります。黒や白の文字盤と比べる場合も、色の違いに加えて、光が当たったときにどの部分の凹凸が見えるかを確認すると特徴を捉えやすくなります。
革ベルトのデュアルクラスプと、セッティモ
革ベルト仕様はアリゲーターレザーを用い、緑色のカーフスキンを裏材としています。留め具は二つ折り式のデュアルクラスプで、ケースと同じ貴金属を使います。1908・革ベルトと留め具
2025年には、イエローゴールド製1908に専用のセッティモが加わりました。小さな要素を7列に組み合わせた金属ブレスレットで、表面をポリッシュ仕上げとし、留め具は隠し式クラウンクラスプです。ロレックス・2025年のセッティモ発表
革ベルトから金属へ変わると、帯だけでなく留め具の構成も変わります。また、専用の接続構造を持つため、すべての1908へ自由に付け替えられると、この仕様紹介だけから判断することはできません。52508・セッティモの構造
セッティモは、小さなコマの連なりを観察する
セッティモの各リンクは、わずかに丸みを持つ小さな要素を7列に並べた構成です。全面を磨くことで、それぞれの小さな面に光が反射します。大きな一枚の金属面の光沢とは違い、細かなコマの連なりそのものが外観の特徴になっています。52508・セッティモのリンク構成
隠し式のクラウンクラスプは、閉じた状態でブレスレットの表面の連続感を保つための構成です。革ベルト仕様のデュアルクラスプと比べる際には、留め具の名称だけでなく、閉じたときの外観と開いたときの構造をそれぞれ見ると違いが分かります。実際の軽さや着け心地は、コマ数や手首との合い方にも関わるため、ここでは公式構造の説明と、試着で確かめる感覚を分けています。
公式掲載の代表4仕様を比べる
以下は確認日時点の代表例です。全組み合わせを網羅する表ではなく、素材・文字盤・帯の違いを見るために4仕様を選んでいます。
| 比較項目 | イエローゴールド・革 | ホワイトゴールド・革 | プラチナ・革 | イエローゴールド・金属 |
|---|---|---|---|---|
| 公式掲載仕様 | m52508-0002 | m52509-0002 | m52506-0003 | m52508-0008 |
| ケース素材 | 18ctイエローゴールド | 18ctホワイトゴールド | 950プラチナ | 18ctイエローゴールド |
| ケース径 | 39mm | 39mm | 39mm | 39mm |
| 文字盤 | インテンスブラック | インテンスブラック | アイスブルー、ライスグレイン | インテンスホワイト |
| 帯 | マットブラックのアリゲーターレザー | マットブラックのアリゲーターレザー | マットブラックのアリゲーターレザー | セッティモ、イエローゴールド |
| 留め具 | デュアルクラスプ | デュアルクラスプ | デュアルクラスプ | クラウンクラスプ |
| 機械 | 7140 | 7140 | 7140 | 7140 |
| 公称パワーリザーブ | 約66時間 | 約66時間 | 約66時間 | 約66時間 |
| 公称防水 | 50m | 50m | 50m | 50m |
出典:52508・革ベルト、52509、52506、52508・セッティモの公式仕様。
同じ52508でも、末尾まで含めた掲載番号によって文字盤と帯が違います。ケースの型番だけでは、革ベルトか金属ブレスレットかまで特定できません。今回の4例では機械と基本機能は共通なので、違いの中心は素材、文字盤、帯にあります。
仕様別の国内希望小売価格
価格確認日:2026年9月28日。ロレックス公式の日本向け価格情報で確認した税込額です。各リンクの末尾番号まで含めた仕様に対応します。
| 対象・仕様 | 価格 | 区分・出典 |
|---|---|---|
| 52506-0003 39 mm/プラチナ/アイスブルー、ライスグレイン モチーフ/レザーストラップ | 4,981,900円 | 国内希望小売価格(税込・ロレックス公式) 価格の出典 |
| 52508-0008 39 mm/18 ct イエローゴールド/インテンスホワイト/セッティモ、7列リンク | 6,076,400円 | 国内希望小売価格(税込・ロレックス公式) 価格の出典 |
| 52509-0002 39 mm/18 ct ホワイトゴールド/インテンスブラック/レザーストラップ | 4,492,400円 | 国内希望小売価格(税込・ロレックス公式) 価格の出典 |
| 52508-0002 39 mm/18 ct イエローゴールド/インテンスブラック/レザーストラップ | 4,287,800円 | 国内希望小売価格(税込・ロレックス公式) 価格の出典 |
革ストラップ仕様とセッティモブレスレット仕様では、同じ1908でも構成が異なります。素材とベルトを合わせて比較するための現行価格で、旧チェリーニの価格ではありません。 公式掲載価格は、店頭在庫や購入機会、中古の成約額・買取額を保証するものではありません。
価格・在庫・受付条件は変わることがあります。購入や依頼の際は、対象の仕様と最新の支払総額をご確認ください。
旧チェリーニとは、具体的な仕様で比較する
クラシックなロレックスという点から、旧チェリーニと比較されることがあります。ただし、1908をチェリーニの単なる名称変更として扱うと、表示や機構の違いを見落とします。
比較例として2019年の公式チェリーニ タイム資料を見ると、Ref.50505は39mm、18ctエバーローズゴールド、自動巻き、中央の時・分・秒針、公称約48時間という構成です。1908の6時位置の小秒針や約66時間とは異なります。ロレックス・チェリーニ タイム2019年資料、PDF2頁
この比較はチェリーニ タイムの一仕様に限ります。チェリーニ全体の歴史や、日付・第2時間帯・月相などの各系統を代表する説明ではありません。1908の位置付けを読む際も、見た目の近さに加えて、秒針の位置、機械、裏蓋、帯を順に照合すると、設計の違いが見えてきます。
あわせて読みたい
- ロレックスの歴史:精度、防水、自動巻きの発展をたどる。
- オイスターパーペチュアルの解説:同じ自動巻きでも異なる表示と外装を知る。
- 時計の番号と販売方法:型番と個体番号の役割を整理する。
情報確認日:2026年10月8日。公式掲載仕様に基づく解説で、実機の使用レビューではありません。掲載仕様は販売店の在庫や購入可能性を示すものではありません。
小秒針と文字盤の余白を読み比べるなら、ノモス タンジェントの歴史も参考になります。同じ35mm径の手巻きと自動巻きを、寸法と機械から比較しています。
