トーチュは、亀を着想源とするケース形状が特徴のカルティエの時計です。丸形でも長方形でもない、側面がふくらんだ輪郭が目を引きます。
ただし、その名前だけで機械や機能を判断することはできません。クォーツの小型モデル、時刻を表示する手巻きモデル、時間を計測できるクロノグラフでは、使い方も大きさも異なります。この記事では公式資料に基づいて歴史を整理し、3型番を比較します。
1912年に生まれた、亀を着想源とする形
カルティエの公式説明によると、ルイ・カルティエがトーチュを考案したのは1912年です。ケースの造形は亀に着想を得ています。時計を見るときは、中央付近のふくらみと上下に向かう輪郭の変化に注目すると、タンクの直線的な形との違いを捉えやすくなります。出典:カルティエ公式・トーチュ紹介
時計の形を知るうえで、ブランドの歴史と個別モデルの仕様は分けて読むことが大切です。1912年という年はトーチュの起点であり、現在調べている型番がその年に発売されたという意味ではありません。今回取り上げるモデルも、初期のトーチュと同一の機械・寸法ではありません。
ブランド全体の流れは、カルティエと時計の歴史で紹介しています。
1928年のクロノグラフと、2024年の1928 MC
カルティエは1928年に、トーチュのモノプッシャークロノグラフを制作したと説明しています。モノプッシャーは、一つのボタンに計測の開始・停止・リセットをまとめた構成です。
2024年には、この仕組みを新しいキャリバー1928 MCで再解釈しました。「1928」という機械名は、最初のトーチュ モノプッシャーへの敬意を示すものです。1928年製の機械をそのまま使っているという意味ではありません。出典:カルティエ公式・ムーブメント解説
時計の外観を楽しむだけでなく、機能の歴史まで知りたい人には、この二つの年を分けて覚えると理解しやすくなります。
ミニ・時刻表示・クロノグラフの3仕様を比較
以下は構成の違いを見るための仕様例です。全世代・全サイズの一覧ではなく、国内での販売状況や在庫を保証するものでもありません。寸法は各公式ページの商品説明を基準にしています。
| 型番・モデル | ケース | 縦×横/厚さ | 機械・機能 | 公式資料 |
|---|---|---|---|---|
| WJTO0011/ミニ | 18Kローズゴールド、ダイヤモンド | 26.1×20.9mm/6.9mm | クォーツ、時・分 | WJTO0011 |
| WGTO0006/カルティエ プリヴェ | 18Kイエローゴールド | 41.4×32.9mm/7.2mm | 手巻き430 MC、時・分 | WGTO0006 |
| WHTO0007/カルティエ プリヴェ | 18Kイエローゴールド | 43.7×34.8mm/10.2mm | 手巻き1928 MC、モノプッシャークロノグラフ | WHTO0007 |
3型番はいずれも公式の防水表示が3気圧です。防水表示を実際に潜れる深さと読み替えず、取扱説明と個体の点検状況を確認してください。
WJTO0011は公式の商品説明が26.1×20.9mm、詳細欄が26.15×20.9mmです。原因を丸めや測定方法の差と断定せず、表では商品説明を採用しています。WGTO0006の旧オーストラリア向けリンクは商品を表示しなくなったため、今回はブラジル公式の商品説明で寸法を確認しています。
クォーツのミニと、手巻き430 MC
WJTO0011はクォーツ式です。外観はジュエリーのように装飾されていますが、機械方式まで手巻きとは限りません。電池を動力源とし、腕を動かしてぜんまいを巻き上げる時計ではありません。
対してWGTO0006は、手巻きの430 MCで時・分を表示します。公式仕様は約38時間のパワーリザーブ。リューズを操作してぜんまいを巻き上げる方式なので、自動巻きのように装着中の腕の動きで巻き上がると考えないようにしましょう。
比較すると、ミニとプリヴェでは横幅だけでも大きな差があります。さらに、ダイヤモンドの装飾、針の形や色、ケースの金属色も異なります。機械方式だけを先に決めず、文字盤の読みやすさと装着感を合わせて確かめると候補を絞りやすくなります。
同じ金色のケースでも、針と表示は異なる
WGTO0006の公式説明は、シャンパンカラーの粒状の文字盤、黒いローマ数字、ゴールド仕上げのスティール製アップル型針を挙げています。一方、WHTO0007は同系色の文字盤にブルースティールのアップル型針を組み合わせ、二つの小さな表示部を備えます。出典:WGTO0006公式仕様、WHTO0007公式仕様
ケース素材が同じだから文字盤の印象も同じ、とは限りません。時刻表示モデルでは大きな針と数字を、クロノグラフではそれらに加えて小さな表示部の配置を追うことになります。比較画像では金属色だけでなく、針の色と背景との組み合わせを見て、自分が最初にどの表示を見つけるかを確かめると、機能表だけでは分からない好みを整理できます。
モノプッシャーは、一本のボタンで何をする?
1928 MCでは、リューズに組み込まれた一つのボタンが計測の開始・停止・リセットを担います。操作部が少なくても、単なる時刻表示の時計ではありません。通常の時刻を読みながら、別に経過時間を測るための機構を備えています。
WHTO0007の公式説明では、9時位置が通常の秒を示す小秒針、3時位置がクロノグラフの分積算表示です。二つの小さな表示を見つけたら、どちらも計測用だと考えず、通常の時刻側と経過時間側を区別すると読みやすくなります。出典:WHTO0007公式仕様
実機を操作するときは、型番に合った取扱説明に従ってください。ボタンの数が少ないことと、任意の順番で操作できることは別です。中古品を確認する際には、販売店に計測の開始・停止・リセットの動作確認を依頼し、結果を聞いておくと比較材料になります。
クロノグラフを加えると、厚さも変わる
同じイエローゴールドのプリヴェでも、WGTO0006とWHTO0007は寸法が異なります。表の値では厚さが7.2mmから10.2mmへ変わり、縦横もクロノグラフの方が大きくなります。
ここは、写真を正面から見るだけでは分かりにくい違いです。計測機能を使いたいかどうかに加え、袖口への収まりや、手首の上での高さを確認しましょう。ケースが丸くないため、横幅だけを丸形時計の直径と比較しても、装着時の印象を十分には予測できません。
WHTO0007のパワーリザーブは公式説明で約44時間です。WGTO0006の約38時間とは型番と機械が違うため、「トーチュの持続時間」として一つの数字にまとめないことが大切です。
ムーブメントの厚さと、時計全体の厚さ
公式商品説明にある機械自体の厚さは、WGTO0006の430 MCが2.15mm、WHTO0007の1928 MCが4.32mmです。これに対してケースの厚さは、それぞれ7.2mmと10.2mm。仕様の「厚さ」を読む際は、内部の機械を測った値なのか、時計の外形の値なのかを区別する必要があります。
数字を引くと機械の差は2.17mm、ケースの差は3mmですが、その差額から特定の部品の厚さを割り出すことはできません。商品説明はケース内部の全寸法を示していないためです。装着時の高さを考えるならケース寸法を、機械設計の違いに関心があるならムーブメント寸法を読む、という使い分けができます。薄い機械の数値をそのまま時計の厚さとして比較しないようにしましょう。
限定数は、該当型番の説明として読む
WGTO0006とWHTO0007の公式商品説明は、それぞれ番号付き200本限定と記載しています。この数値をトーチュ全体の生産数と解釈したり、ほかの素材・型番の本数まで足し合わせたりしないようにしましょう。
また、限定という表示だけで入手条件や将来の価格が決まるわけではありません。購入候補を見るときには、型番、限定番号の記載、付属書類を照合します。型番と個体番号、限定番号の読み分けは、時計の番号と販売方法で説明しています。
交換ストラップまで含めて仕様を読む
WGTO0006の公式説明は、青のセミマット仕上げのアリゲーターストラップとイエローゴールドの尾錠を挙げています。WHTO0007は茶のアリゲーターストラップに加え、2本目としてダークブルーのアリゲーターストラップを記載し、両者を交換できると説明しています。文字盤側だけでなく、ストラップの色の構成にも違いがあります。
これは公式に記載された構成であり、すべての中古販売に交換用ストラップが付属するという意味ではありません。写真が茶色の状態なら青も含まれるか、尾錠はどの素材か、販売内容として何が渡されるかを確認します。交換可能という記載だけで、パシャなど別シリーズの交換機構と同じ方式だと考えず、その型番に合った取り扱いを確認してください。
中古のトーチュで確認したいこと
外観が似ていても、時刻表示モデルとクロノグラフ、クォーツと手巻きでは確認する内容が異なります。まず販売名だけでなく型番と機械方式を揃えて比較しましょう。
- ケースと風防:正面だけでなく側面の写真でも、打痕、欠け、輪郭の状態を確認する。
- 機械と操作部:クォーツは電池交換履歴、手巻きは整備履歴や巻き上げ操作の状態を確認する。
- クロノグラフ:計測の開始・停止・リセットについて、販売店の動作確認結果を確認する。
- 装飾と装着部分:石の欠損、ストラップの傷み、尾錠の素材、付属する交換ストラップの有無を確認する。
- 書類と番号:本体についての販売説明と付属書類を照合し、不明点を確認する。付属品だけで真贋を判断しない。
詳しい項目は時計の購入前チェックリストと箱・保証書・付属品の見方も参照してください。形の違いからカルティエを比較するなら、タンクの歴史と各系統も入口になります。
トーチュを選ぶ際は、独特なケースの輪郭を楽しみながら、型番ごとの機械、計測機能、厚さを確かめると、見た目と使い方の両方から候補を比べられます。
トーチュの価格を確認できた地域と仕様
価格確認日:2026年10月8日。今回、国内の現行公式価格を確定できなかったため、確認できたブラジル向け公式掲載額を現地通貨で示します。日本の定価ではありません。
| 対象・仕様 | 価格 | 区分・出典 |
|---|---|---|
| WGTO0006 カルティエ プリヴェ・イエローゴールド・手巻き430 MC | BRL 241,000 | ブラジル公式掲載価格(税区分未確認) 価格の出典 |
BRLはブラジルレアルで、出典ではR$ 241.000,00と表示されています。為替換算だけで国内購入額は決まらないため、円換算や国内定価への置き換えはしていません。税区分・地域別販売条件・在庫は別途確認が必要です。ミニWJTO0011やモノプッシャーWHTO0007は別仕様で、この価格の対象ではありません。
価格・在庫・受付条件は変わることがあります。購入や依頼の際は、対象の仕様と最新の支払総額をご確認ください。
