パシャ ドゥ カルティエは、丸いケースに大きなアラビア数字を配し、チェーン付きのリューズカバーを備えた時計です。ローマ数字と角形ケースの印象が強いタンクやサントスとは、ひと目で分かる違いがあります。
ただし、パシャという名前の時計がすべて同じ仕様というわけではありません。サイズだけでなく、クォーツと自動巻き、素材、防水表示、ブレスレットの仕組みも型番ごとに確認する必要があります。この記事では1985年の登場と2020年の刷新をたどり、公式仕様を確認できる3型番を比較します。

1985年の登場と、2020年の刷新
カルティエの公式コレクション紹介では、パシャの最初のモデルを1985年としています。一方、公式商品ページでは、1943年に登場した丸形の腕時計をパシャの着想源として説明しています。「デザインの源流」と「パシャというシリーズの登場」は、分けて理解すると歴史を整理しやすくなります。出典:カルティエのパシャ紹介、公式商品ページのコレクション説明
2020年には新しいパシャが発表されました。カルティエが同年6月に公開した発表資料でも、刷新されたモデルの発売を案内しています。昔の個体と比較する際は、名前やケースの丸さだけで同じ仕様と考えず、どの世代の型番なのかを確かめることが大切です。出典:カルティエの2020年6月30日発表
ブランド全体の歩みは、カルティエと時計の歴史で紹介しています。
チェーンがつながるのは、リューズを覆うカバー
パシャの特徴は、ケースの横に付いた小さなチェーンとリューズカバーです。時刻を合わせるためのリューズと、その外側を覆うねじ込み式のカバーを区別すると、構造を理解しやすくなります。カバーがチェーンでケースにつながる姿そのものが、外観上の目印になっています。
青い石の素材も一律ではありません。今回取り上げるスティール製WSPA0009は、カバーとリューズに合成スピネルを使用。ローズゴールド製WJPA0013とWJPA0017ではサファイアと記載されています。青い外観だけで石の種類やケース素材を判断せず、型番の仕様と照合しましょう。出典は次の比較表にまとめています。
カバーの形を見ただけで、その個体の防水状態が分かるわけでもありません。特に中古品では、外観の確認と防水検査の記録を別々に確認する必要があります。
30・35・41mmの3型番を比較
下表は公式資料を確認できる仕様例です。サイズだけを揃えた比較ではなく、素材と装飾も異なります。全ラインナップの一覧や、国内で購入できる現行品の一覧ではありません。
| 型番・呼称サイズ | ケース・装飾 | 機械 | 厚さ | 防水表示 | 公式資料 |
|---|---|---|---|---|---|
| WJPA0017/30mm | 18Kローズゴールド、ダイヤモンド付きベゼル | クォーツ | 8.22mm | 3気圧 | WJPA0017 |
| WJPA0013/35mm | 18Kローズゴールド、ダイヤモンド付きベゼル | 自動巻き・1847 MC | 9.37mm | 10気圧 | WJPA0013 |
| WSPA0009/41mm | スティール | 自動巻き・1847 MC | 9.55mm | 10気圧 | WSPA0009 |
寸法は各ページの商品説明を採用しています。2026年10月8日の確認では、WJPA0017の商品説明は直径30mm・厚さ8.22mmです。以前の別地域ページにあった詳細寸法の注記は、今回確認できた説明に合わせて更新しています。
この3型番だけでも、クォーツと自動巻き、3気圧と10気圧の違いがあります。「パシャはすべて自動巻き」「パシャならすべて100m防水」というまとめ方はできません。また、防水表示をそのまま実際に潜れる深さとして読まないことも大切です。
35mmと41mmは、厚さも同じ割合で増えるわけではない
比較表の35mmと41mmは、どちらも1847 MCを搭載しています。直径は6mm違いますが、厚さは9.37mmと9.55mmで、差は0.18mmです。直径の大きい方が比例して厚くなる、と考えると、この2本の違いを捉え損ねます。正面の広がりと側面の高さは、別々の数値として読むのが役立ちます。
ただし、同じ厚さに近いことは同じ着け心地を意味しません。今回は35mmがローズゴールドとダイヤモンド、41mmがスティールで、素材と装飾も異なります。仕様表には着用時の重さの感じ方までは書かれていないため、数値から軽重や快適さを順位付けせず、まず好みの外観を選び、実機では手首からの張り出しを確かめると比較の順序が明確になります。
クォーツと自動巻きで変わる使い方
30mmのWJPA0017はクォーツ式です。電池を動力源とするため、自動巻きのように装着してぜんまいを巻き上げる仕組みとは異なります。今回の35mmと41mmは1847 MCを搭載する自動巻きで、外したまま動力がなくなると停止し、再び使う際には巻き上げや時刻合わせが必要です。
選ぶ際には大きさや装飾に加え、日常の着用頻度を考えておくと比較しやすくなります。何本かを交替で使うのか、同じ一本を継続して使うのかによって、時刻合わせや整備との付き合い方も変わります。
同じキャリバー名が記載されていても、ほかのモデルの持続時間や機能をそのまま当てはめることは避けましょう。中古品では機械方式と整備履歴を、販売説明や付属書類で確かめます。
QuickSwitchとSmartLinkは、役割が違う
比較対象の公式説明には、QuickSwitchとSmartLinkという名称が登場します。QuickSwitchはブレスレットやストラップの交換に使う仕組み、SmartLinkは対応する金属ブレスレットの長さ調整に関わる仕組みです。
WSPA0009はSmartLink付きのスティールブレスレットと、ダークグレーのアリゲーターストラップが記載され、両方がQuickSwitchに対応します。WJPA0013も金属ブレスレットと革ストラップの組み合わせです。一方、WJPA0017は赤とグレーの革ストラップを備える仕様で、表の3本が同じ付属品構成というわけではありません。
こうした交換機構を、過去のパシャ全体に共通する機能と考えないようにしましょう。中古品を見るときは、元の仕様に加え、実際に付属するストラップ、バックル、余りコマを確認します。別のパシャのストラップが使えるかどうかも、名前だけでは判断できません。
交換したいのは、バンドの種類か長さか
例えばWSPA0009を金属ブレスレットから付属の革ストラップへ替える場面では、確認するのはQuickSwitchの接続部分です。一方、金属ブレスレットのまま腕回りを合わせたい場面ではSmartLinkが関係します。二つの名前が併記されていても、同じ作業を二通りの方法で行うという説明ではありません。
中古販売の写真で革ストラップだけが写っている場合は、元の金属ブレスレットも付くのかを確認しましょう。逆に金属の状態で販売されていても、交換用の革や必要なバックルが揃うとは限りません。本体だけの価格比較から一歩進めて、自分が使いたい組み合わせを完成させるのに何が含まれているかを見ると、付属品欄の意味が分かりやすくなります。
写真で見る、パシャらしい文字盤
掲載した参考写真では、丸いケースのなかに12・3・6・9のアラビア数字が置かれ、内側には四角形の目盛りが見えます。円のなかに直線的な形が入る点が、文字盤を見るうえでの手がかりです。
これは写真に写った個体についての観察です。型番や内部の機械、製造年まで写真から確定したものではなく、比較表の1847 MC搭載モデルの実物写真として扱ってはいません。パシャには装飾や機能が異なるものがあるため、写真の見た目と、購入候補の型番の仕様を分けて確認してください。
カルティエのほかの定番と比較するなら、タンクの歴史と各系統の違いやサントスの歴史と特徴も参考になります。ケースの形だけでなく、数字と針、ブレスレットまで見比べると好みが整理しやすくなります。
針の輪郭と、文字盤の模様を分けて見る
WSPA0009の公式仕様は、シルバーカラーのフランケ文字盤と、ブルースティールの菱形針を挙げています。青い針という色の共通点だけで、カルティエのほかの時計に多い剣形の針と同じと考えないことが、造形を見る手がかりになります。出典:WSPA0009の商品説明
商品画像では、最初に針の輪郭を、次に背景の細かな模様を見ると、それぞれの役割を追いやすくなります。模様がある文字盤と、時分を指す針は別の要素です。拡大写真の装飾だけで選ぶ前に、通常の大きさの画像でも針の位置を見つけやすいかを比べてみてください。ここでいう見方は仕様の読み解き方であり、掲載した型番未確定の参考写真をWSPA0009と同定するものではありません。
中古のパシャで確認したいこと
購入候補が見つかったら、まず型番と機械方式を揃えて比較しましょう。同じパシャという名称でも、大きさや機能、部品の構成が異なるためです。
- リューズカバーとチェーン:欠損や変形、留め部分の状態を確認する。操作に違和感がある場合は無理に回さず販売店に確認する。
- ケースと取り付け部分:正面写真だけでなく、側面やブレスレットとの接続部分も確認する。
- ブレスレットと付属品:腕回りの長さ、余りコマ、別ストラップやバックルが販売内容に含まれるかを確認する。
- 整備と防水:電池交換・機械の整備履歴と、防水検査の有無をそれぞれ確認する。
- 型番と書類:本体に関する販売説明と保証書等の記載を照合する。付属品があることだけで真贋を判断しない。
確認項目は時計の購入前チェックリストと箱・保証書・付属品の見方にもまとめています。
パシャを比べるときは、特徴的なカバーや数字を楽しみながら、型番ごとの機械・防水表示・付属品を確かめると、見た目と使い勝手の両方から候補を絞れます。
パシャ41mmの国内販売価格の例
価格確認日:2026年10月8日。The Watch Companyが新品として掲載する指定型番の税込販売額です。
| 対象・仕様 | 価格 | 区分・出典 |
|---|---|---|
| WSPA0009 パシャ ドゥ カルティエ・41mm・自動巻き・スティール | 1,020,800円 | 国内販売店掲載価格(税込・The Watch Company) 価格の出典 |
販売店の提示額で、メーカー公式定価や中古の買取額ではありません。確認時の在庫・納期表示が注文時まで続くとは限らず、同店は通信販売と店頭で価格や支払い条件が異なる場合があると案内しています。本文の小型クォーツやダイヤモンド仕様の価格とは分けます。
価格・在庫・受付条件は変わることがあります。購入や依頼の際は、対象の仕様と最新の支払総額をご確認ください。


