ロレックス ヨットマスター――海上で時間を読むベゼルと、サイズ・素材の違い

Yacht-Master; exact reference unverified ブランド・モデル
写真:Suhailb (English Wikipedia); brightness/color revision by 0m9Ep / CC BY-SA 3.0 / 出典・利用条件 / ライセンス。型番・製造年・内部機械は未確認。現行4仕様の写真ではない。 加工記録:No additional modifications to current Commons version; existing brightness/color adjustment credited.

ヨットマスターは、セーリングとの関わりを持つロレックスです。中央の3針と日付を備え、外周の60分目盛りで経過時間を読みます。名前の似たヨットマスターIIはカウントダウン機能を持つ別モデルであり、単に大きさや世代が違うだけではありません。

本稿ではベゼルの役割、サイズごとの機械、素材とブレスレットの組み合わせを整理します。資料・公式掲載仕様の確認日:2026年10月7日(価格の確認日は価格欄に別記)。

浮き上がったベゼル目盛りと日付窓を備えるヨットマスターの参考写真
写真:Suhailb(英語版Wikipedia)、明るさ・色の調整:0m9Ep/Wikimedia Commons掲載元/CC BY-SA 3.0。Commonsの現行掲載版を追加加工せず使用。元の写真の日付は2006年10月23日、掲載版の調整履歴は2021年2月23日です。型番・製造年・内部機械は未確認で、本文の現行4仕様を示す写真ではありません。

1992年に誕生した、セーリングのためのモデル

ヨットマスターの発表は1992年。ロレックスは、航海者やスキッパーを想定して開発したモデルと説明しています。深い海中での耐圧性能を中心に進化したシードゥエラーやディープシーとは、用途の背景が異なります。ロレックス・ヨットマスター概要

公式掲載のケース径は37・40・42mmで、公称防水性能はいずれも100mです。同じ海に関わる時計でも、モデル名と数字だけから潜水時計と同じ構成を想定せず、ベゼルや表示の役割を確認することが大切です。ロレックス・サイズと防水仕様

両方向に回る60分ベゼル

ヨットマスターのベゼルは、時計回りと反時計回りの両方向へ回ります。数字と目盛りが浮き上がり、つやを抑えた背景との対比で読みやすくした構成です。公式資料では、二つのブイの間を航走した時間などを読む例が挙げられています。ロレックス・ベゼルの用途

経過時間を読むときは、開始時の分針にベゼルの基準を合わせ、あとで分針が示す目盛りを読みます。たとえば12分後なら、ベゼル上の12分に相当する位置が目安になります。これは仕組みの説明用の例で、掲載写真の表示を読み取ったものではありません。

この方法では、時計の針を止めたり、計測専用の針をスタートさせたりしません。クロノグラフとは異なり、通常の分針と回転目盛りを組み合わせます。また、サブマリーナーの逆回転防止ベゼルとは回転方向の設計が異なります。サブマリーナーの記事

ベゼルは、色だけでなく凹凸で見る

ヨットマスターらしさを探すなら、ベゼルの数字が背景より高くなっている点に注目すると分かりやすくなります。数字と目盛りは磨かれ、周囲はつやを抑えた仕上げです。金属色のベゼルでも黒いセラミックのベゼルでも、明暗の差に加えて立体的な高低差を読む構成になっています。ロレックス・浮き上がった目盛りの仕上げ

写真を比較する際は、同じ黒ベゼルでも、印字された数字の色と数字自体の立ち上がりを区別してみてください。光の向きで明るくなる場所が変わるため、一枚の正面写真だけでは凹凸をつかみにくいことがあります。斜めからの写真を合わせて見ると、このモデルの外周の造形を理解しやすくなります。

ロレジウムとロレゾールを読み分ける

ロレジウムは、オイスタースチールとプラチナを組み合わせる名称です。今回比較する37mm・40mmの仕様では、ケースとブレスレットがスチール、ベゼルがプラチナです。時計全体がプラチナ製という意味ではありません。ヨットマスター37・素材の構成

一方、エバーローズロレゾールはスチールとエバーローズゴールドの組み合わせです。似た響きの名称でも、組み合わせる貴金属が違います。さらに、RLXチタンの42mmや、ゴールドにオイスターフレックスを組み合わせる仕様もあります。ロレックス・素材と帯の展開

銀色に見える写真だけでは、スチール、プラチナ、ホワイトゴールド、チタンの区別はできません。材質の名称に加えて、それがベゼル・ケース・ブレスレットのどこに使われるかを読む必要があります。

2015年のオイスターフレックス、2023年のチタン

2015年、ヨットマスターはロレックスで初めてオイスターフレックスを採用しました。2023年にはRLXチタン製のヨットマスター42が登場し、素材の選択肢が広がります。ロレックス・ヨットマスターの歩み

オイスターフレックスは、柔軟な金属製ブレードをエラストマーで覆う構造です。外から黒い帯に見えても、金属の芯を持たない単純なゴム製ストラップと同じ構造ではありません。ヨットマスター42・オイスターフレックス

ケース素材を変更した仕様と、帯を変更した仕様は別々に見ると整理しやすくなります。たとえば42mmでも、チタン製のモデルは金属製オイスターブレスレット、ホワイトゴールドの比較例はオイスターフレックスという組み合わせです。

オイスターフレックスは、内側と留め具まで見る

226659の公式説明によると、帯の内部にはチタンとニッケルの合金製ブレードがあり、外側を黒いエラストマーが覆います。手首側には、時計を安定させるための縦方向のクッション構造もあります。ケースと帯が黒と白に分かれて見えるだけでなく、内部の芯と手首に接する面をそれぞれ工夫した作りです。226659・帯の内部とクッション

同仕様のグライドロックは、留め具の下で約2.5mm刻み、合計約15mmの長さ調整ができます。公式概要では六つの刻みと説明されています。一方、今回比較する金属ブレスレットのイージーリンクは約5mmの延長機構です。単に「調整できる」という共通点だけでなく、段階的に細かく変える方式か、約5mm延長する方式かを分けて読むと違いが明確になります。ロレックス・二つの長さ調整機構

これらの数値は留め具側の調整量であり、対応できる手首周りの全範囲を表すものではありません。試着ではまず基本の長さを合わせ、そのうえで微調整の操作や、帯の内側が手首に触れる感覚を確認するとよいでしょう。

37mmと40・42mmは、機械も異なる

現行37mmの比較例は2236、40mmと42mmは3235を搭載します。前者の公称パワーリザーブは約55時間、後者は約70時間です。同じモデルを単純に大きくしたものとして扱うと、内部の違いを見落とします。

比較項目 ヨットマスター37 ヨットマスター40 ヨットマスター42 ヨットマスター42
公式掲載仕様 m268622-0002 m126622-0001 m226627-0001 m226659-0002
ケース径 37mm 40mm 42mm 42mm
主な素材 スチール+プラチナ スチール+プラチナ RLXチタン 18ctホワイトゴールド
文字盤 スレート スレート インテンスブラック ブラック
ベゼル プラチナ プラチナ 黒セラミックインサート 黒セラミックインサート
機械 2236 3235 3235 3235
公称パワーリザーブ 約55時間 約70時間 約70時間 約70時間
ブレスレット オイスター オイスター オイスター オイスターフレックス
長さの調整 イージーリンク イージーリンク イージーリンク グライドロック

出典:268622、126622、226627、226659の公式仕様。4仕様とも日付表示と100mの公称防水を備えます。

表は確認日時点の代表例です。すべての素材・色がすべての径で選べるという意味ではなく、過去の同径モデルへ現行の機械を当てはめることもできません。パワーリザーブは十分に巻き上げた場合の目安で、実際の装着時間によって動力の蓄え方は変わります。

帯の名称だけで長さの調整機構まで同じだと考えないことも大切です。今回の金属製オイスター3仕様はイージーリンク、オイスターフレックスの比較例はグライドロックです。径だけでなく帯の構成も、装着感を比較する条件になります。

2236と3235は、持続時間以外も違う

機械の違いをもう一歩見ると、2236はシリコン製のシロキシ・ヘアスプリング、3235は青いパラクロム・ヘアスプリングを採用しています。さらに3235にはクロナジー・エスケープメントが使われています。公式資料が示す約55時間と約70時間という違いの背後には、機械の構成そのものの違いがあります。ロレックス・2236と3235の構成

したがって37mmを選ぶことは、40mmと同じ内部機械を小さいケースに収めた時計を選ぶことではありません。一方、今回の40mmと42mmは同じ3235なので、そこでは素材や帯、手首での収まりが比較の中心になります。サイズごとに比較の軸を切り替えると、仕様表の数字を実際の選び方につなげられます。

仕様別の国内希望小売価格

価格確認日:2026年9月28日。ロレックス公式の日本向け価格情報で確認した税込額です。各リンクの末尾番号まで含めた仕様に対応します。

対象・仕様価格区分・出典
126622-0001
40 mm/ロレジウム – オイスタースチール&プラチナ/スレート/オイスター(3列リンク)
1,960,200円国内希望小売価格(税込・ロレックス公式)
価格の出典
226627-0001
42 mm/RLXチタン/インテンスブラック/オイスター(3列リンク)
2,384,800円国内希望小売価格(税込・ロレックス公式)
価格の出典
268622-0002
37 mm/ロレジウム – オイスタースチール&プラチナ/スレート/オイスター(3列リンク)
1,845,800円国内希望小売価格(税込・ロレックス公式)
価格の出典
226659-0002
42 mm/18 ct ホワイトゴールド/ブラック/オイスターフレックス
5,936,700円国内希望小売価格(税込・ロレックス公式)
価格の出典

ロレジウム、ホワイトゴールドとオイスターフレックス、RLXチタンでは、素材もベルトも違います。ケース径だけで価格差を説明せず、末尾番号まで一致する商品を比べてください。 公式掲載価格は、店頭在庫や購入機会、中古の成約額・買取額を保証するものではありません。

価格・在庫・受付条件は変わることがあります。購入や依頼の際は、対象の仕様と最新の支払総額をご確認ください。

ヨットマスターIIは、レース開始前の時間を扱う

ヨットマスターIIは、レガッタのスタートに向けたカウントダウンを担うクロノグラフです。通常のヨットマスターの回転ベゼルで経過時間を読む仕組みとは、表示も内部の機構も異なります。

2026年には新世代のヨットマスターIIが発表されました。公式発表では、カウントダウンの設定と操作を側面の二つのプッシャーで行う設計へ見直し、機械には新しい4162を採用したと説明しています。ロレックス・2026年ヨットマスターII

そのため、以前の生産終了情報だけで「IIは現在存在しない」としたり、旧世代の設定手順を新作へ流用したりすることはできません。IIの各世代の詳細は、発表資料と説明書を分けて調べる対象です。

ヨットマスターを比較するときは、まず通常モデルかIIかを確認し、次に径、機械、素材、帯を見ます。この順序なら、見た目が近いモデルの機能差と、同じ機能を持つモデルの外装差を整理できます。本稿で扱っていない旧型番・旧サイズ・文字盤の全変遷は、引き続き個別資料で確認する対象です。