デイトジャストは、時刻と日付を日常的に読むためのロレックスです。中央の時針・分針・秒針と3時位置の日付窓を基本に、ケースの大きさ、金属、文字盤、ブレスレットで幅広い表情を持っています。
同じ名前でも、古いモデルと現在のモデルでは日付の合わせ方や機械が異なります。本稿では誕生からの改良をたどり、現在の31・36・41mmの掲載例を比較します。価格や売却条件を中心にした記事とは別に、時計そのものを理解するための基本解説です。
1945年、日付を窓で読む自動巻きクロノメーターとして誕生
ロレックスの公式史によると、デイトジャストは1945年に登場しました。同社は、文字盤の窓に日付を表示する初の自動巻き腕時計クロノメーターと位置付けています。ここでいうクロノメーターは精度の認定に関する言葉で、経過時間を測るクロノグラフとは別です。
日付だけが発明の要点だったわけではありません。精度、防水ケース、自動巻きというそれまでの開発を、日付が読める腕時計に組み合わせたことが重要です。発表に合わせてジュビリーブレスレットも用意されました。ロレックス公式史・1926–1945
潜水時間や速度を測る目盛りを中心に据える時計と比べると、デイトジャストの表示は生活の予定に近いものです。書類に日付を記入するときや、月の何日かを確認するとき、針の時刻と一緒に数字を読めます。用途が単純だからこそ、外観の選択肢が時計の個性になっています。
写真で分かる、デイトジャストの顔

写真では、3時位置の日付窓の上に拡大レンズがあり、外周には細かな刻みを持つベゼルが見えます。ブレスレットは左右の大きな駒の間に小さな駒が並ぶ構成で、中央と外側の色も異なります。文字盤だけでなく、ベゼルとブレスレットまで含めて印象が作られていることが分かります。
一方、内部の機械や現在の防水状態は写真では確認できません。後述する16013のオークション資料は別個体の記録であり、この撮影個体の鑑定記録ではありません。
日付の読みやすさと、合わせやすさは別々に改良された
| 年 | 公式史で確認できる変更 | 使うときに変わること |
|---|---|---|
| 1953年 | サイクロップレンズの導入 | 日付の数字を拡大して読む |
| 1956年 | キャリバー1065による瞬時の日付切り替え | 日付が一段進む動作が瞬時になる |
| 1977年 | キャリバー3035と日付の早送り機構 | 針とは独立して日付を合わせられる |
出典:ロレックス・デイトジャストの年表。
日付が瞬時に変わる機能と、リューズで日付だけを早送りする機能は、役割が異なります。「デイトジャストだから、最初から現在と同じ日付操作ができる」と考えると、古い世代を読み違えます。中古・ヴィンテージを調べる際は、型番と搭載機械を先に確認する意味があります。
現在の31・36・41は、機械も同じではない
現在の公式資料では、デイトジャストは31・36・41mmのケースで案内されています。31はキャリバー2236、36と41はキャリバー3235を搭載する自動巻きです。ロレックス・現行デイトジャストの技術解説
以下は2026年10月8日に確認した、具体的な四つの仕様例です。表の末尾番号まで含めて、掲載ページの文字盤とブレスレットを特定しています。
| 掲載仕様 | 直径 | ケースの素材構成/ベゼル | 文字盤/ブレスレット | 機械/パワーリザーブ |
|---|---|---|---|---|
| 278240-0005 | 31mm | オイスタースチール/ドーム | シルバー/オイスター | 2236/約55時間 |
| 126200-0001 | 36mm | オイスタースチール/ドーム | シルバー/ジュビリー | 3235/約70時間 |
| 126233-0035 | 36mm | スチールとイエローゴールド/フルーテッド | スレート/ジュビリー | 3235/約70時間 |
| 126334-0001 | 41mm | スチールとホワイトゴールド/フルーテッド | ブライトブルー/オイスター | 3235/約70時間 |
出典:ロレックス公式の278240-0005、126200-0001、126233-0035、126334-0001。
この四仕様は、いずれも100m防水、サファイアクリスタル、日付上のサイクロップレンズを備えます。時刻合わせの際に秒針を止める機能と日付の早送りもあり、公式の精度表記はケーシング後で日差−2〜+2秒です。数値は掲載仕様のもので、使用歴のある個体の実測値を保証するものではありません。
パワーリザーブは、十分に巻き上げられた状態から動き続けられる時間の目安です。自動巻きでも、着用時間や腕の動きによって巻き上げの量は変わります。31を36の単なる縮小版と見るより、寸法に合わせて機械も異なるモデルと捉えると理解しやすくなります。
ケース径は見た目を比べる出発点です。同じ直径でも、腕の幅、ブレスレットの長さ、文字盤の色や目盛りによって印象は変わります。例えば表の二つの36mmは寸法と機械が共通でも、ベゼルと素材の違いが外観に表れます。
2236と3235は、持続時間以外にも違いがある
公式解説では、31mmの2236はシリコン製のシロキシ・ヘアスプリング、36・41mmの3235はブルー・パラクロム・ヘアスプリングを備えます。ヘアスプリングは、時計の調速を担う振動系の部品です。約55時間と約70時間という動力の持続時間だけでなく、内部の構成にも違いがあります。出典:ロレックス公式・機械解説
レディ デイトジャストと31mmの関係
レディ デイトジャストは、公式には1957年登場の別系統として案内されています。現在のケース径は28mmで、キャリバー2236、約55時間のパワーリザーブを備えます。ロレックス・レディ デイトジャスト
現在の「デイトジャスト31」と「レディ デイトジャスト28」は、機械の番号が共通でも、同一サイズの別名ではありません。小ぶりな時計を探す際は、商品名に付く数字と実寸を合わせて見ると整理できます。レディ デイトジャストの旧世代や素材展開は、専用記事でさらに扱う対象です。
ロレゾールは、スチールとゴールドの組み合わせ
素材表記で出会う「ロレゾール」は、ロレックスにおけるスチールとゴールドの組み合わせです。表の126233はイエローロレゾール、126334はホワイトロレゾールに当たります。
イエローロレゾールでは、ゴールドとスチールの色の差が外観に出ます。一方、ホワイトロレゾールは全体が銀色に見えやすくても、すべてがスチールという意味ではありません。126334の公式説明ではベゼルがゴールド、ブレスレットの素材がオイスタースチールと示されています。
「コンビ」と呼ばれる時計を調べるときも、色の組み合わせだけで判断せず、ケース、ベゼル、ブレスレットのどこに何の金属を使うかを見ると正確です。また、現行の素材名称をそのまま旧世代の時計へ当てはめることは避けます。126334の素材説明、126233の素材説明
ベゼルとブレスレットで、同じ日付時計の表情が変わる
ドームベゼルは滑らかな輪郭を見せ、フルーテッドベゼルは細かな面が光を反射します。宝石を留めた仕様もあり、デイトジャストを刻みのあるベゼルだけのシリーズと覚える必要はありません。ロレックス・デイトジャストの外観の選択肢
ブレスレットでは、オイスターは3列、ジュビリーは5列の構成が基本です。幅の広い駒が目に入るオイスターに対し、ジュビリーは小さな面の連なりが細やかな表情を作ります。これは外観上の比較であり、どちらが快適かは腕や調整状態にもよります。
留め具も確認したい部分です。現行31のジュビリーには継ぎ目を隠したクラウンクラスプ、36・41のオイスターとジュビリーにはオイスタークラスプが案内されています。オイスタークラスプを備える仕様には、約5mm延長できるイージーリンクがあります。ブレスレット名が同じでも、サイズや世代によって留め具まで同じとは限りません。ロレックス・ブレスレットの技術説明
文字盤は、色に加えてバー状の目盛り、ローマ数字、宝石など、時刻の読み取り方にも違いが出る部分です。写真で好みの組み合わせを見つけたら、型番の後ろの仕様番号まで確かめると、別の文字盤やブレスレットを取り違えにくくなります。
31mmのゴールド仕様にはプレジデントもある
デイトジャストのブレスレットは、オイスターとジュビリーだけではありません。公式解説は、31mmの18 ctゴールド仕様に、継ぎ目を隠したクラウンクラスプ付きのプレジデントを案内しています。プレジデントという名前を見ただけで、曜日表示を持つデイデイトだと判断しないことが大切です。出典:ロレックス公式・ブレスレット解説
表の31mmはスティールのオイスター仕様なので、この選択肢は別の構成です。ケース径、金属、ブレスレットを一組で確認すると、シリーズ全体の選択肢と、特定型番の仕様を混同せずに読めます。
16013、16233から現在を見る
旧世代を比較する入口として、36mmの16013と16233を取り上げます。次の資料は、オークション会社が扱った個体の記録です。
| リファレンス | 資料で確認した内容 | 年代の読み方 |
|---|---|---|
| 16013 | スチールと18Kゴールド、36mm、自動巻き3035 | クリスティーズが約1984年と記す出品個体 |
| 16233 | スチールと18Kイエローゴールド、36mm、自動巻き3135 | フィリップスが約2000年と記す出品個体 |
出典:クリスティーズ・16013、フィリップス・16233。表の年は各個体についての推定年代で、シリーズの発売年ではありません。
フィリップスは16233について、サファイアクリスタルと3135を特徴として説明しています。表の現行36mmは3235です。同じ36mm、同じスチールとゴールドの組み合わせでも、内部の世代は異なります。
旧型を見る楽しみは、現在に似た顔の中からこうした違いを見つけることにもあります。製造時期を細かく追う場合は、ケース番号だけでなく、文字盤、ブレスレット、交換部品、付属資料を個体ごとに照合します。本稿の二例は、全リファレンスの製造開始・終了年を網羅するものではありません。
歴史にはクォーツ式のデイトジャストもある
現在の比較表はすべて自動巻きですが、過去にはオイスタークォーツ デイトジャストが存在します。フィリップスのRef.17013の記録では、機械はクォーツ式のキャリバー5035、ケース径は36mmです。フィリップス・オイスタークォーツ17013
したがって「ロレックスのデイトジャストは、過去もすべて自動巻き」とまとめることはできません。オイスタークォーツは機械と外観に特徴を持つ歴史的な枝として、通常の自動巻きの系譜と区別して読むと分かりやすくなります。
仕様別の国内希望小売価格
価格確認日:2026年9月28日。ロレックス公式の日本向け価格情報で確認した税込額です。各リンクの末尾番号まで含めた仕様に対応します。
| 対象・仕様 | 価格 | 区分・出典 |
|---|---|---|
| 278240-0005 31 mm/オイスタースチール/シルバー/オイスター(3列リンク) | 1,144,000円 | 国内希望小売価格(税込・ロレックス公式) 価格の出典 |
| 126200-0001 36 mm/オイスタースチール/シルバー/ジュビリー、5列リンク | 1,241,900円 | 国内希望小売価格(税込・ロレックス公式) 価格の出典 |
| 126334-0001 41 mm/ホワイトロレゾール – オイスタースチール&ホワイトゴールド/ブライトブルー/オイスター(3列リンク) | 1,731,400円 | 国内希望小売価格(税込・ロレックス公式) 価格の出典 |
31・36・41mmのうち、公式価格を取得した3仕様の例です。本文の126233-0035はこの価格表に含めていません。126200-0001はジュビリー仕様で、本文の販売店掲載例126200-0004とは文字盤・ブレスレットが異なるため、そのまま値上がり率を計算しないでください。 公式掲載価格は、店頭在庫や購入機会、中古の成約額・買取額を保証するものではありません。
価格・在庫・受付条件は変わることがあります。購入や依頼の際は、対象の仕様と最新の支払総額をご確認ください。
価格の位置付けと、確認できた数字
デイトジャストの価格をひとつの数字で代表させることは困難です。スチール仕様、ゴールドを組み合わせた仕様、宝石を使う仕様があり、ブレスレットや文字盤まで含めた構成が異なるためです。
国内の掲載例として、2026年10月8日に確認したロレックス ブティック HASSINのM126200-0004は、希望小売価格1,208,900円(税込)でした。これは36mm、スチール、ブライトブラック文字盤、オイスターブレスレットの仕様です。比較表の126200-0001とは文字盤とブレスレットが異なります。HASSIN・M126200-0004
この金額は確認時点の掲載価格で、発売当初の価格や中古市場の成約価格ではありません。また、掲載があることと店頭で購入できる在庫があることは別です。シリーズの発売当初価格、モデル別総生産数、顧客ごとの販売優先順位は、今回の資料では確定できませんでした。
購入条件や二次流通価格を比べる際の考え方は、公開済みのロレックスの資産価値をどう見る?で扱っています。
支持の背景を、日常性と選択肢から考える
ここまでの特徴から、デイトジャストの支持の背景には、時刻と日付という分かりやすい機能と、自分に合う外観を選べる幅があると考えられます。これは製品構成に基づく考察であり、販売数量や人気順位を示すものではありません。
大きさ、金属、ベゼル、ブレスレットを変えても、日付窓を持つ時計という骨格は読み取れます。歴史を追えば、同じ顔に見える時計にも機械や操作の改良があります。まず好みの寸法と外観から入り、型番と機械へ進むと、長いデイトジャストの系譜を具体的な時計として理解できます。
情報確認日:2026年10月8日(価格の確認日は価格欄に別記)。現行掲載例、歴史的な変更、オークションの別個体記録を区別して記載しています。


