カルティエ サントスとは?誕生の歴史と、デュモン・ドゥ カルティエの違い

Cartier Santos; source describes steel gold 1988 ブランド・モデル
写真:Noop1958 / CC BY-SA 3.0 / 出典・利用条件 / ライセンス。1988は撮影者の個体説明。メーカー照合未実施。型番・機械を外観から断定しない。1904年の個体でもWSSA0029/0085/0032でもない。 加工記録:none

サントスは、飛行家のために作られた時計を起点に、四角い輪郭と見えるビスを受け継いできたカルティエのモデル系統です。ただし、現在調べられるサントスは一種類ではありません。金属ブレスレットを備える自動巻きも、革ストラップを使う薄い手巻きやクォーツもあります。

最初に「サントス ドゥ カルティエ」と「サントス デュモン」を分け、そのうえでサイズとリファレンスを確認すると、歴史と現代の選択肢をつなげて理解できます。

1904年の製作と1911年の一般販売

カルティエ公式は、1904年にルイ・カルティエが友人の飛行家アルベルト・サントス=デュモンのため、飛行中に時刻を読める時計を作ったと説明しています。腕に着けることが、特定の活動での使いやすさにつながった例です。出典:カルティエ・サントス デュモン

一般販売へ進んだ年は、サザビーズの解説では1911年とされています。1904年は製作の起点、1911年は販売史上の節目です。本稿では「世界で最初の腕時計」と無条件に言い切らず、初期の腕時計史を代表するモデルとして扱います。出典:サザビーズ・サントスの歴史

ここでいう飛行との関係は、1904年の背景です。現在のすべてのサントスに航空専用の計器機能が付く、という意味ではありません。

形を読む――四角、ビス、文字盤の余白

サントスを見分ける入口は、角を丸めた四角い輪郭と、ベゼルに見えるビスです。文字盤のローマ数字、内側に連なる分目盛り、青い針なども、写真の個体で観察できます。

旧世代のサントスの着用写真。ビスのあるベゼル、ローマ数字、6時位置の日付が見える。
写真:旧世代のサントス。撮影者の説明は「steel gold 1988」。製造年・型番・搭載機械はメーカー資料と未照合で、下表の3リファレンスとは異なります。撮影:Noop1958/Wikimedia Commons、CC BY-SA 3.0。取得画像は加工なし。

写真の時計には6時位置の日付窓が見えます。一方、サントスには日付のない仕様もあります。ビスや四角い文字盤が共通していても、表示や機械まで同じとは限りません。

また、四角い時計の横幅を、そのまま丸い時計の直径と同じ感覚で比べるのは難しいものです。角の張り出し、縦方向の長さ、ケースの厚さ、ストラップへ続く部分も見たほうが、腕に着けた姿を想像できます。

同じ四角でも、リューズと文字盤に違いがある

現代の比較例へ視線を移すと、WSSA0029のリューズは七角形で、ファセットを施した合成スピネルを備えます。WSSA0032のデュモンでは、粒状の縁を持つリューズに丸みのある青い合成スピネルを組み合わせています。石の色だけでなく、その輪郭と周囲の金属を見ると、同じサントスの中でも側面の表情が異なることが分かります。公式・WSSA0029、公式・WSSA0032

WSSA0029はシルバーカラーのオパライン文字盤、WSSA0032はサンレイ効果を持つシルバーカラーのサテン仕上げと説明されています。デュモンの面に光が移る様子と、ベゼルのビスが作る点の並びを分けて眺めると、装飾が少ないように見える時計にも観察する場所が増えます。ここで挙げた素材と仕上げは指定した型番の仕様で、上の旧世代写真を鑑定した結果ではありません。

1978年の展開と、その後の更新

公式のカルティエ コレクションは、ゴールドとスチールを使う自動巻きのサントス ドゥ カルティエを、1978年に生まれたモデルとして紹介しています。掲載されている所蔵個体自体は1981年のものです。モデルの誕生年と、写真に写った作品の年が別である好例です。出典:カルティエ コレクション

2018年には新しいサントス ドゥ カルティエが登場し、リシュモンの同年の年次報告書にも主要な発表として記録されました。出典:リシュモン・2018年年次報告書

歴史を読むときは、1904年の製作、1978年のモデル展開、2018年の更新を別の節目として捉えます。現在の交換機構や防水仕様を、1904年や1978年の時計へさかのぼって当てはめることはできません。

3リファレンスで見る、機械と大きさの違い

次の表は、公式製品資料で仕様を確認した具体例です。コレクションの全サイズ・全素材を網羅するものではなく、各地域での在庫や注文可否も示していません。

項目 サントス ドゥ カルティエ WSSA0029 サントス デュモン WSSA0085 サントス デュモン WSSA0032
公式サイズ区分 ミディアム ラージ エクストララージ
駆動方式 自動巻き クォーツ 手巻き
キャリバー 1847 MC 参照ページでは番号未確認 430 MC
ケース寸法 横幅35.1mm 43.5 × 31.4mm 46.6 × 33.9mm
厚さ 8.83mm 7.3mm 7.5mm
ケース素材 スチール スチール スチール
防水表記 10bar(約100m) 3bar 3bar(約30m)
帯 スチール+交換用カーフ アリゲーター アリゲーター

出典:カルティエ・WSSA0029、WSSA0085、WSSA0032。WSSA0029は参照した説明が横幅表記のため、他の二つと同じ縦×横にそろえていません。

この3本を見ると、サイズ名だけでは大きさを比べられないことが分かります。「ミディアム」のWSSA0029の横幅35.1mmは、「エクストララージ」のWSSA0032の横幅33.9mmより大きい数値です。サイズ区分は、それぞれの系統の中での呼び分けとして読むのが適切です。

使い方にも違いがあります。自動巻きは腕の動きでぜんまいを巻き、手巻きはりゅうずで巻き上げます。クォーツのWSSA0085は電池を動力とする選択肢です。古いサントスがすべて手巻き、現代のサントスがすべて自動巻き、といった分け方はできません。

二針のデュモンを、巻き方から選ぶ

表のWSSA0085とWSSA0032は、ともに時・分を表示する二針のモデルです。秒針の動きを見ることはできませんが、その静かな見た目を支える仕組みはクォーツと手巻きで異なります。見える針が同じだからこそ、時刻を読む間以外に時計へどう関わりたいかが選択の手がかりになります。公式・WSSA0085の機能、公式・WSSA0032の機能

WSSA0032の430 MCは、参照した公式仕様欄でパワーリザーブ38時間とされています。1日と14時間に相当するため、毎日同じ頃に巻くという付き合い方を考えやすい機械です。腕に着けるだけで巻き足される自動巻きとは異なり、りゅうずに触れて動力を与える行為が生活の中に入ります。38時間は公称仕様であり、巻き上げ不足の個体までその時間動くという意味ではありません。

寸法にも小さな違いがあります。クォーツのラージと手巻きのエクストララージは、厚さの差が0.2mmですが、縦の差は3.1mm、横の差は2.5mmです。薄さだけで似た着け心地と決めず、ストラップへ続く上下の端が手首にどう収まるかを見ると、表の数字が実際の形につながります。これらの差は公式寸法からの計算で、装着して測った数値ではありません。

WSSA0029の公式説明には、二つの名称が出てきます。QuickSwitchはブレスレットとストラップを交換するための仕組み、SmartLinkは金属ブレスレットの長さを調節するための仕組みです。交換する場所と役割が異なります。出典:カルティエ公式・WSSA0029の製品説明

金属の連なりを見せる着け方と、革で時計本体の輪郭を引き立てる着け方を、一本で使い分けるための工夫と考えられます。ただし、写真に掲載した旧世代の時計や、すべてのデュモンに同じ仕組みがあるわけではありません。対象リファレンスの説明を確認します。

国内販売店で確認した型番別の価格

価格確認日:2026年9月28日。アイアイイスズの商品ページに掲載された税込額です。メーカー公式サイトの価格と混同しないよう、販売店名を付けています。

2026年10月5日の再確認では同じ商品ページ内に異なる金額表示があったため、表は9月28日の記録として残しています。現在の見積額としては扱っていません。

対象・仕様価格区分・出典
WSSA0029
サントス ドゥ カルティエ ウォッチ ミディアムモデル
1,399,200円国内販売店掲載価格(税込・アイアイイスズ)
価格の出典
WSSA0085
サントス-デュモン ウォッチ ラージモデル
869,000円国内販売店掲載価格(税込・アイアイイスズ)
価格の出典
WSSA0032
サントス-デュモン ウォッチ エクストララージモデル
1,293,600円国内販売店掲載価格(税込・アイアイイスズ)
価格の出典

ドゥ カルティエの自動巻きと、デュモンのクォーツ・手巻きを比べる国内掲載例です。本文のWSSA0029の2024年6月の価格記録とは時点が異なります。異なる系統のサイズ名を、そのまま同じ寸法として比較しないでください。 掲載額は中古の成約額や買取額ではなく、在庫・納期・注文可否は販売店への確認が必要です。

価格・在庫・受付条件は変わることがあります。購入や依頼の際は、対象の仕様と最新の支払総額をご確認ください。

価格の位置付けと、分かっていない数字

価格を具体的に見る資料として、国内販売店の大丸福岡天神店時計売場・福岡今岡は、WSSA0029を2024年6月5日時点で1,122,000円(税込)と掲載しています。これはスチール製の自動巻きミディアムモデルについて、その時点の価格を確認できる記録です。1904年や1911年の発売価格、2018年の導入価格、現在の価格ではありません。出典:販売店によるWSSA0029紹介

このように同じ系統でも、スチールの実用的な仕様から、貴金属や特別な機構を用いる作品まで、別々に価格を見る必要があります。公式製品資料にはイエローゴールド製WGSA0030があり、所蔵作品の紹介には2010年のトゥールビヨンを備えたサントス100も登場します。出典:カルティエ・WGSA0030、カルティエ コレクション

今回の確認範囲では、初代の価格表、世代別の実生産数、特定の番号を誰へ優先販売したかを裏付ける資料は確保できていません。一般的なサントスの個体識別番号を、限定数や購入優先順位へ読み替えることもできません。

サントスを詳しく知るための順序

まずは、四角い輪郭が好きなのか、ブレスレットまで一体に見える姿が好きなのかを見ます。次にドゥ カルティエとデュモンを分け、幅・縦の長さ・厚さと駆動方式を具体的に確認します。そのうえで歴代モデルへ戻ると、残された特徴と変えられた部分が見えてきます。

サントスの面白さは、1904年から同じ時計が続いたことではなく、腕に着けて時刻を読むという出発点から、形や機械、装いとの関係を広げてきたことにあります。旧世代の個別解説では、今回ひとまとめにしなかった型番・機械・日付表示の違いをさらに調べる必要があります。

情報確認日:2026年10月5日(価格の確認日は価格欄に別記)。仕様は上記公式資料、価格は日付の明らかな販売店の記録に基づきます。掲載写真は仕様比較の3本とは異なります。

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