デ・ヴィルは、オメガの中でも落ち着いた外観の時計を探すときに目にする名前です。ただし、すべてが同じ機械や表示を備えるわけではありません。自動巻き、手巻き、クォーツがあり、同じ「トレゾア」という名前の中でも仕組みが異なります。
本稿では独立したコレクションになるまでの背景と、公式製品ページから選んだ4仕様を整理します。資料・仕様の確認日:2026年10月5日。生産終了品も含む比較で、全世代・全仕様の一覧ではありません。

1967年に、シーマスターから独立
デ・ヴィルは、1967年に「シーマスター・デ・ヴィル」から独立したラインとなりました。公式年表は、名称からシーマスターが外れ、スリムで多彩なデザインを持つコレクションになったと説明しています。オメガ・1967年のデ・ヴィル
古い時計に両方の名前が書かれているのは、このつながりを考える手がかりになります。ただし、文字盤の名称だけで個体の製造年や部品のオリジナル性まで確定することはできません。コレクションの独立年と、目の前の個体の年代は分けて調べます。
シーマスターの記事ではダイバー系を含む展開を扱いました。デ・ヴィルでは、外装の装飾や表示、機械の選び方に注目すると、同じオメガの中での違いが見えてきます。
プレステージ――基本的な表示にも複数の選択肢
1994年に登場したプレステージは、今回の40mm仕様では中央の3針と6時位置の日付を備えます。ブラックの文字盤にローマ数字と丸いインデックスを組み合わせ、自動巻きキャリバー8800を搭載しています。プレステージ40mm・公式仕様
一方、プレステージ全体には、スモールセコンドやパワーリザーブ表示を持つ機械式モデル、クォーツモデルもあります。「プレステージなら全て8800」と覚えるのではなく、サイズと表示に続いて型番を確かめるのが確実です。プレステージ・コレクション説明
プレステージは、数字と丸いマーカーのリズムを見る
比較するプレステージの文字盤は、ローマ数字と丸みのあるカボション形のマーカーを交互に置く構成です。外周には線路を思わせる分目盛りがあり、時を読む場所と分を読む場所を分けています。黒い文字盤も単なる平面ではなく、ドーム形状とサンブラッシュ仕上げを組み合わせています。公式プレステージ・文字盤
針とマーカーはPVDによるセドナゴールドカラーです。「ゴールドカラー」という仕上げの説明を、部品全体が無垢のゴールドでできているという意味に置き換えないことも大切です。同じ暖かい色でも、後述する手巻きトレゾアの18Kホワイトゴールド製部品とは、仕様の書き方が異なります。
トレゾア――手巻きとクォーツを区別する
比較に選んだ40mmのトレゾアは手巻きです。6時位置の小さな秒表示と、12時位置のゼンマイ残量表示を備え、キャリバー8934のパワーリザーブは72時間。着用による自動巻き上げではなく、リューズを使って巻き上げる仕様です。トレゾア40mm・公式仕様
もう一つの36mmトレゾアは、電池で動くキャリバー4061を搭載します。ケース側面に沿うダイヤモンド、白い文字盤の赤いローマ数字、赤いストラップが特徴です。同じ系統名でも、手巻きモデルとは日々の扱い方も外観も異なります。トレゾア36mm・公式仕様
この2本では、72時間という数値はゼンマイによる持続時間、48か月という数値はメーカーが示す電池寿命です。単位を換算して一つの性能順位にするより、何を動力にし、どんな使い方をする時計なのかを見るほうが理解しやすくなります。
トレゾアの上下二つの表示は、役割が違う
手巻きトレゾアの6時位置は通常の秒、12時位置はゼンマイの残量を示します。小さな表示が二つあっても、別の時間帯を示す時計やクロノグラフではありません。中央で時・分を読み、下側で秒の動きを見て、上側で巻き上げの目安を知る順序にすると、整った配置と機能が結び付きます。
この435.13.40.22.06.001はツートーンのシルバー文字盤に、18Kホワイトゴールドの針とインデックスを備えます。明るい文字盤の中でも、中央の大きな針と二つの補助表示を分けた構成です。プレステージの6時位置が日付窓なのに対し、こちらは秒表示なので、同じ場所に何が置かれているかを見ると比較しやすくなります。公式手巻きトレゾア・表示と素材
日々の扱い方は、動力の補い方から考える
自動巻きのプレステージは腕の動きでゼンマイを巻きます。手巻きトレゾアはリューズで巻き、残量表示をその目安にできます。クォーツのトレゾアは電池が動力源なので、着用時間が短いからゼンマイの巻き上げ不足になる、という問題とは別です。外観を選んだあと、この違いを日常の使い方と対応させます。
たとえば数日おきに時計を替える使い方では、機械式は外していた期間と動力残量によって、着ける前の巻き上げや時刻合わせが必要になります。手巻きの72時間は満巻きからの公称持続時間であり、着けた瞬間から毎回72時間を数え直す値ではありません。クォーツの48か月も電池寿命の目安で、購入日から必ずその期間使えるという約束とは分けて読みます。
レディマティック――装飾と自動巻きを組み合わせる
今回のレディマティックは34mm。ブラックの文字盤にダイヤモンドのインデックスを配し、ケース側面には波状の装飾と黒いセラミックのリングを備えます。内部は自動巻きキャリバー8520で、3時位置に日付表示があります。公式ページはこの型番を生産終了と表示しています。レディマティック34mm・公式仕様
装飾のある小径モデルでも、クォーツとは限りません。また、このモデルの「コーアクシャル クロノメーター」と、表の8800・8934搭載モデルの「マスター クロノメーター」は、同じ表記ではありません。コレクション名から認証まで一括して判断しないことが大切です。
レディマティックは、正面と側面を分けて眺める
今回のレディマティックでは、正面のブラック文字盤にスーパーノヴァ模様とダイヤモンドのインデックスがあり、側面には波状の装飾、その間に黒いセラミックのリングが見えます。正面だけなら小径の装飾時計に見えても、横から見ることで素材の重なりとケースの奥行きを確かめられます。公式レディマティック・外装と機械
裏側は透明で、自動巻きの8520を眺められる構成です。正面の宝石、側面の装飾、裏面の機械は、それぞれ別の鑑賞対象になります。小ささや装飾の多さだけで動く仕組みを推測せず、表と裏を対応させて見ると、クォーツのトレゾアとの差がはっきりします。
4仕様を比べる
数値は上記の各公式製品ページに基づきます。ケースはいずれもステンレススティールですが、寸法、機械、帯、防水表記は異なります。レディマティックの厚さは参照した技術仕様欄に記載がなく、推測で補っていません。
| 項目 | プレステージ | トレゾア・手巻き | トレゾア・クォーツ | レディマティック |
|---|---|---|---|---|
| 型番 | 434.10.40.20.01.001 | 435.13.40.22.06.001 | 428.18.36.60.04.002 | 425.30.34.20.51.001 |
| ケース径 | 40mm | 40mm | 36mm | 34mm |
| 厚さ | 9.93mm | 10.05mm | 8.85mm | 参照仕様欄に記載なし |
| ラグを含む縦の長さ | 46.26mm | 44.80mm | 42.70mm | 41.60mm |
| 方式 | 自動巻き | 手巻き | クォーツ | 自動巻き |
| キャリバー | 8800 | 8934 | 4061 | 8520 |
| パワーリザーブ | 55時間 | 72時間 | 対象外(電池式) | 50時間 |
| 電池寿命の表記 | 対象外 | 対象外 | 48か月 | 対象外 |
| 防水表記 | 30m | 30m | 30m | 100m |
| ブレスレット/ストラップ | ステンレススティール | グレーのレザー | レッドのレザー | ステンレススティール |
プレステージと手巻きトレゾアは同じ40mmですが、ラグを含む縦の長さは異なります。直径の数字に加え、ケースの形や帯のつながり方も確認すると、装着時の印象を比較しやすくなります。
防水の数値は、その型番に示された仕様です。古い個体の現在の防水状態を保証するものとして読み替えたり、同じ系統の別モデルへ当てはめたりはできません。
型番別の公式価格を確認する
価格確認日:2026年10月5日。日本向け公式ページで確認した価格です。現行の公式掲載額と、中古市場の販売・買取価格を分けて読んでください。
| 対象・仕様 | 価格 | 区分・出典 |
|---|---|---|
| 434.10.40.20.01.001 プレステージ・40mm・スティールブレスレット | 825,000円 | 日本公式掲載価格(税区分未確認) 価格の出典 |
| 428.18.36.60.04.002 トレゾア・36mm・クォーツ | 825,000円 | 日本公式掲載価格(税区分未確認) 価格の出典 |
同じデ・ヴィルでも、ムーブメント、サイズ、装飾、ベルトの構成は異なります。上記2型番が同額でも仕様が同一という意味ではありません。本文中のパワーリザーブ435.13.40.22.06.001とレディマティック425.30.34.20.51.001は、今回、同型番の現行価格を確認できなかったため掲載していません。価格欄の税区分は未確認です。
価格・在庫・受付条件は変わることがあります。購入や依頼の際は、対象の仕様と最新の支払総額をご確認ください。
外観の次に、機械と認証を見る
オメガがコーアクシャル脱進機を導入したのは1999年です。ジョージ・ダニエルズが考案した仕組みを用い、摩擦を抑えることを目指しました。「コーアクシャル」は、この機械内部の仕組みに関わる名称です。オメガ・1999年のコーアクシャル導入
一方、マスター クロノメーターは精度、耐磁性、防水、パワーリザーブなどを検証する認証です。機構の名称と認証の名称は、別の情報を伝えています。METAS・時計認証
デ・ヴィルを調べる際は、まず外観と表示を見て、次に自動巻き・手巻き・クォーツの別、型番、認証表記を確認します。これらを分けて読むことで、見た目の似たモデル同士でも違いを整理できます。ブランド全体の歩みはオメガの歴史、精度史と意匠の別の展開はコンステレーションの記事で扱っています。


